一般に、男性は黒いタイツをはいた女性の脚のどこを見るだろうか。「脚のカタチ」を見て、それでおおむね終わり、だろうと思う。しかし女性にすれば、タイツの“微妙な透け”にも注目してほしい。というのも、タイツはもともとは「厚手で透けない」タイプの需要が圧倒的に多かった。だが2010年の秋冬、業界では「タイツ人気の潮目が変わった」とみる。冬場のタイツのトレンド最前線が、マット(透けない)からシアー(透ける)へ移行したのだ。国内におけるストッキングづくりのパイオニア企業であるアツギで「黒タイツの変遷」を取材した。

脚もとの「黒」は女性が安心する定番色

 スカートの下に「黒」のストッキングやタイツをはく女性は多い。なぜか。理由として挙げられるのは「ファッションにおいて黒はオシャレな色、そしてどんな服にも合わせやすい色」という両面を備えること。加えて、なかには黒で「隠したい」「少しでも細く見せたい」という心理もはたらくように思う。実際にはかえって存在感が強調される場合もあるようだが。

駅改札近くで待ち合わせする女性の一群に目が留まった。脚は全員、黒だった(2015年11月)
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 CA(客室乗務員)の歴代制服も、JALは1970年から、ANAは1982年から黒のストッキングを採用している。

 ストッキングとタイツはどう違うのか。靴下業界の分類では、ストッキングは使用する糸の太さが30デニール未満、タイツは30デニール以上のものを指す。デニール(※)とは糸の太さを表す単位で、数値が低いほうが細く、より細い糸を使って編んだ生地のほうが透け感は増す。女性が使い分けるにあたっては、簡単にいうと、脚をキレイに見せるのがストッキング、一方のタイツは防寒やコーディネート用というように、用途・機能が「厚み」とリンクしている。ストッキングでは各肌色と並び、黒はいまも昔も不可欠の色。タイツは黒の需要が7~8割を占めるという。

(※)デニールは厳密には糸の重さを指すが、糸の重さは太さに比例するため、糸の太さを表す単位ととらえられている。ナイロンを例にとると、1グラムのナイロンを9000メートルに引き伸ばしたときの太さが1デニール。平均的な日本人の髪の毛の太さは50~60デニールといわれる。