時は元禄15年、小雪降り敷く……。もとい、時は平成21年秋、熱血バイヤー一行は、天下の険と言われる箱根の山にはせ参じていた。その理由はとある企業の新商品を紹介するロケ。熱血バイヤーは忙しいのだ。
箱根ロケも終盤にさしかかり、箱根の関所に程近い「杉並木」で撮影をしていた。ふと、前を見ると鮮やかな色の野菜を抱えた女性がひとり……。謎の女性の登場によって、東海道中膝栗毛の「やじきた」よろしく、東海道を逆戻り、いや、また進め? 東京〜箱根間を行ったりきたりの壮大な(?)物語へと突入した!
果たして熱血バイヤーは、箱根ロケの後どこに行ったのか? そして、野菜を抱えた謎の女性の正体は?
澄み渡った空、芦ノ湖もまた同じく澄み渡った青で、そろそろ箱根の山々も秋の気配をかもし出している。爽やかな空気の中、熱血バイヤーは東海道53次の中で一番厳しかったといわれる箱根関所にいた。ここで、ある商品を紹介するロケが行われていたのだ。
箱根の関所にいたるまで、一里塚、石畳、見事な杉並木などがあるが、さすが「天下の険」箱根だけあって、坂道の勾配も半端じゃない。
「こんな厳しい道のりを経て、さらに関所を越えるって、相当の苦労だよね。一歩一歩、踏みしめて登ってきたわけでしょ。」とロケの舞台の箱根を見て熱血バイヤーが腕を組んだ。
箱根ロケ、最後の撮影地は関所の手前にある見事な杉並木。神奈川県立恩賜箱根公園界隈に現存する500メートルほどの杉並木は江戸時代からのもので、暑い日は太陽の日差しをやわらかくし、風の日は穏やかな微風にし、雨の日はアーケードの役割をしてくれた旅人の足を守る重要な街道施設だ。
「オッケーでーす」
と現場監督のjinke氏が宣言するとロケは終了した。「いやはや、終わりましたねえ」とS氏が熱血バイヤーに話しかけるが、彼の足は前方にただずむ野菜を持ったキレイな女性に向いていた。
「お! 野菜……。君が作ったの?」
「俺は無農薬の野菜を、産地直送で取り寄せてるくらいに野菜にはうるさいんだ。君が持っている野菜はなかなかの上物だと見た」
何故、こんな若い女性が箱根の山で野菜を持って歩いているのかという疑問など、持ち前の「細かいことは気にすんな!」の精神で頭から払いのけた熱血バイヤー。そのときにはもう、彼の目には新鮮な野菜しか映っていなかった。
「もしよかったら、このお野菜差し上げますよ」
予想だにしなかったそんな女性からのセリフに、目を丸くする熱血バイヤー。
謎の女性は新鮮な野菜を熱血バイヤーに手渡し、「野菜は鮮度が一番ですよね!」と一言だけ残して名前も告げずに駈け去っていった。