本田雅一のこの冬のベストバイ くっきり、前面給排紙、高速&無線LAN 多機能プリンター エプソン「カラリオPX-503A」

エプソンが発売したEP-901A、EP-901Fは、ライバルだけでなく我々製品レビューアを含め、閉塞気味に感じられていたインクジェットプリンターに新鮮な驚きをもたらした。

単純に写真がキレイ、印刷が速い、普通紙での文字品位が高い、あるいは操作性が良いといった事だけでなく、実に細やかな配慮がされ、実際に家庭内で利用する際に、“なるほど”と膝を打つことしきりの製品だったからだ。

エプソン「カラリオPX-503A」

有線、無線LANを搭載。4色顔料インクで普通紙にくっきりとプリント。前面操作、前面給排紙で使いやすさを実現し、自動両面印刷にも対応。無線LAN、iPhoneプリント、自動両面印刷対応/2 .5型カラー液晶、チルトパネル搭載/前面給紙/4色顔料インク/2400dpiスキャナー搭載

単に前面給排紙機構を持つだけでなく、それを自動両面印刷や使いやすいカセット式の給紙メカニズム、それに特徴的なシンプルで低く構えたフォルムなど、使っていてこうあって欲しいと思える要素を妥協なく盛り込んでいた。また、CD/DVDの印刷トレイが自動的に出てくるなど、実に心憎い配慮がされているのも特徴だった。

あれから世代を二つ重ね、モデル番号の末尾が“3”となった今年は、あのエポックメイキングをもたらした製品が、ユーザーの利用シーンに応じて二つに分化し、低価格製品へと魂が受け継がれている。特に私が注目しているのはEP-803AとPX-503Aの二つの機種だが、とりわけオススメしたいのがPX-503Aだ。

本田雅一

みんながエプソンのプリンターを欲しがる理由とは?

エプソンはカラーインクジェットプリンターが普及し始めた1990年代半ば以降、常に市場でトップの位置に君臨し続けてきた。約15年もの間、同じメーカーがトップクラスの実力であり続ける事は珍しくないが、実際の市場でも成功を続ける事は難しい。それが毎年のように技術革新のある分野の製品ならばなおさらだ。

多くのユーザーがエプソンを選んできた最も大きな理由は、エプソンなら写真印刷がキレイ、年賀状印刷も美しいという信頼感があるからだろう。店頭でも写真画質を求める顧客には、無条件でエプソン製プリンターを薦める傾向がある。

現在のエプソン製プリンターの“写真”画質は、単にハードウェア的な優位性によるものだけではない。デジタルカメラでユーザーが撮影した、あるいは携帯電話で撮影した、決して理想的とは言えない状態のデジタル写真を美しく印刷しなければならない。これは単に写真らしい画質を実現したり、キレイに見えるような絵作りをするという事ではなく、多様な写真の状態を判別し、自動的に補正を入れながら良い写真として印刷する機能が求められているということだ。

それはかつて、“○○フィルムでプリントすれば安心、キレイ”といった、フィルムメーカーに対する画質の信頼感に似ている。フィルムメーカーは写真の自動補正なども含めて、DPEシステムに独自性を盛り込んでいった。カタログに書かれているEpson Colorのロゴは「このマークがあれば、エプソンらしい写真が得られる」という事を示したものだ。

前記した製品の紹介で言及したEP-803Aも、そうしたエプソンのDNAを受け継いだ機種である。画質面で今さら何が良いと言う必要さえ感じないブランドへの信頼感がそこにはある。

ただし、あまりにも“写真がキレイ”という記憶が強すぎ、実用性の面で過小評価されている側面もある。実はエプソンのプリンターは、日常的な普通紙プリントでも意外や意外。非常に優秀だからだ。おそらく量販店の店頭で話を聞いても、そのような話は出てこないだろう。写真ならエプソン、日常的な印刷は……とステレオタイプな像が出来上がっているのである。

しかしこれは消費者にとって不幸なことだ。

実は驚くほど高速で品位の高い黒文字印刷

無線LAN標準対応だからパソコンやルーターと離れた場所にも設置可能。しかも前面給排紙だから壁や家具にピタリとくっつけて設置できる。

エプソンのプリンターが日常使用、すなわちWebページやビジネス文書の印刷に向いていないとされて来たのは、黒文字の品位が低いと言われてきたためだった。ライバルメーカーが、普通紙での文字品位が高いとされる顔料系黒インクを採用する中、写真の仕上がりを重視してエプソンは染料黒インクを主要モデルに使ってきた。

しかし、実際に使ってみるとわかるように、エプソンの染料系黒インクは写真画質を重視したプリンターの中ではダントツに濃度が高い。これは15年前から変わらない。かつてインク吐出量が多い時代には、確かに一部で染料系インクの弱点が目立ったかもしれないが、ノズル数が増加して吐出量が最適化されてからは、エプソンの染料系インクの普通紙印刷は格段に品位が良くなっている。

品位が良いだけでなく、驚くほど高速だ。これはエプソンが採用しているマイクロピエゾヘッドが、電気的な制御でインク吐出量を制御できる特徴を持っていることに起因している。つまり、写真ほどの細やかな階調表現が必要な場合は、インク吐出量を増やして印刷を高速にできるのである。

高いシェアを維持し続けている背景には、単に“写真がキレイ”なだけでなく、ユーザーにとってより良い製品を作ってきたエプソンの製品作りに対する姿勢や日常的なプリントにおける顧客満足度の高さがあるからに他ならない。

そうした意味でもEP-803Aは、非常にコストパフォーマンスの良い万能的な製品なのだが、もし筆者が実家や親類に一台のプリンターを贈るとしたら、PX-503Aを選ぶ。なぜなら、普段使いの事をもっとも考え、ランニングコストや使いやすさ、それにプリンター本体の価格も含め、もっともバリュー感の高いモデルだと思うからだ。

加えてPX-503Aは、全色が顔料インクのプリンターでもある。

全色顔料インクで普通紙にくっきり印刷できる。大容量ブラックインクを採用しているので大量のモノクロ印刷も安心。

使いやすい前面操作、前面給排紙を実現。給紙カセットはA4用紙を最大150枚、ハガキなら最大30枚がセットできる。

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