ブカツの天使でテレビが変わる

地方から全国へ 新機軸番組プロジェクトの全貌

4月にスタートした『ブカツの天使』は、25の地方テレビ局が番組コンセプトを共有しながら、制作は各局が独自に行うという異色のローカル番組。さまざまな新しい試みと緻密なメディアミックス戦略により、地方発信から全国規模のムーブメントを起こそうとしている。その全貌を追った。

『ブカツの天使』 4月5日より放送中。日本テレビ系列の全国25局28道県にて毎週1回、土曜または日曜のオンエア。全国の高校を訪問し、部活に取り組む運動部員とマネージャーへの取材を中心に構成。アイドル女子マネージャーは、番組内の応援映像やインフォマーシャルに登場する。5組のアーティストが番組のために書き下ろした応援ソングにも注目が集まる。
 どんなに時代の価値観が変わっても、10代の若者がスポーツを通して流す汗と涙は感動的。4月からスタートした『ブカツの天使』は、全国の高校運動部の現場を取材し、部を陰で支えるマネージャーの目を通してひたむきに部活に取り組む若者たちの姿をレポートする3分間のテレビ番組だ。
 同番組は全国25局28道県で放送中だが、強いて言うならローカル番組に分類されるもの。「N25」と呼ばれる日本テレビ系列の地方テレビ局25局が独自に番組制作を行い、それぞれの圏内だけで放送している。例えば、札幌テレビが制作した番組は北海道圏内だけに流れるため、他地域の視聴者の目に触れることはない。これに対して同名番組を複数の地域で放送する場合、キー局または地方のテレビ局が制作した番組をキー局が全国へ発信するという構図が一般的だ。
 どちらとも異なる番組制作・放送形態をとっている理由を、番組スポンサーである大塚製薬の井上将司プロダクトマーケティングマネージャーはこう語る。
 「地方ごとに異なる600の感動ドラマ(25局で合計600番組を制作予定)を全国で平行して放送することにより、各地の高校生が“自分たちだけのブカツのドラマ”を体感することができます。視聴者と番組の地域密着度をより高めるのが狙いです」
 『ブカツの天使』では、地域密着度を高めるもう1つの仕掛けとして25局を全国5ブロックに分け、ブロックごとに異なる出演アイドルと楽曲提供アーティストを起用。U-18の次世代アイドル、ネクストブレイクの筆頭に挙げられる音楽アーティストが顔を揃えている。あえて大物メジャーの起用を避けているのは、“若者の飛躍”に期待を寄せる番組テーマにつながっているようだ。
 ちなみに番組フォーマットは、全局で統一されている。取材映像の本編が終わると、女子マネジャーを連想させるアイドルが出演するドラマ仕立てのインフォマーシャルが流れ、続いて番組と連動したアーティストのプロモーションビデオへとつながる三段階の構成。この番組のために各アーティストが書き下ろした応援ソングを背景に、3つの要素が“ブカツ”という瑞々しい価値観で重なりながら、1つの自然なまとまりを創り上げることに成功している。

各局のつながりはWEB

 こうした新しい取り組みは、次の一手へとつながっている。各局が制作・放送した番組は、N25が共同で立ち上げた『ブカツの天使』公式サイトで順次動画配信され、アーカイブとして蓄積されていく。これにより地元の番組だけを見ていた地上波テレビの視聴者は、ネット上で他地域の『ブカツの天使』も見ることができるようになる。つまり25のテレビ局のラインは縦割りに終わることなく、横のつながりをWEB上で構築しているというわけだ。

「ブカツの天使」プロジェクトは地方から全国規模のムーブメントを狙う http://bukaten.tv/
 この公式サイトにはソーシャル・ネットワーキング・サービス的な機能もあり、番組に登場したマネージャー同士がサイト内で情報交換をしたり、視聴者が書き込みをしたりすることも可能。ここから新たなコミュニティの形成や流行の派生も期待できる。
 地域密着の番組作りによる地方発信と、アイドルとアーティストの人気・認知度から期待できる全国区の訴求効果。そしてWEBサイトを活用した視聴者参加型番組という3方向からムーブメントを起こそうとする試みは、これまでのテレビ制作には見られなかった新しいものといえるだろう。

より大きなムーブメントへ

 さらに、部活に関わる高校生だけでなく、あらゆる若者に興味を持ってもらえるようなプロモーション展開も行っていくという。
 「例えばカラオケです。DAMと提携し、番組内で流れるアーティストの応援ソングを課題曲としたランキングバトルやカラオケオーディションを実施する予定です。ここからCDデビューする人が出るくらいに盛り上げたいですね」(井上氏)  この他にも、人気ケータイサイト「dwango」内にキャンペーンサイトを展開したり、人気占い師とのコラボによるWEBコンテンツの新設も予定。パソコン動画配信サイト『ニコニコ動画』などと連携した企画も視野に入れているという。すでに多くのユーザーを獲得済みの人気コンテンツを活用する徹底したメディアミックス戦略により、10代全域からの支持を獲得しながら番組への求心力を拡大。テレビ番組の枠を超え、より大きなムーブメントへの波及を図っていくのが狙いだ。
 井上氏は、本プロモーションの目標を次のように語る。
「番組がすべての高校生に感動を与え、また来年の春から新しい『ブカツの天使』が違う物語を紡ぎ出す。この流れが繰り返されることが、究極の目標ですね」
 デジタル放送やインターネット動画配信の台頭などにより、テレビの新たな存在価値が問われている昨今。『ブカツの天使』プロジェクトのチャレンジは、今後のテレビ制作の可能性を広げる第一歩となるかもしれない。
番組出演アイドル&楽曲提供アーティスト
北海道・北東北地区 財前光希 MONKEY MAJIK
『goin' places』

財前光希は1993年8月30日生まれの最年少14歳。仙台を拠点に活動する4人組バンド、MONKEY MAJIKの『goin' places』は、6月発売予定のニューシングルに収録予定 !

中部・南東北地区 三原勇希 UVERworld
『Just break the limit』

三原勇希は1990年4月4日生まれの18歳。テレビ神奈川『sakusaku』にレギュラー出演中。楽曲を書き下ろしたのは、滋賀県出身の人気5人組ロックバンド、UVERworld。

日本海地区 米村美咲 PhilHarmoUniQue
『輝ける場所』

米村美咲は1992年11月13日生まれの15歳。応援ソングを手がけたのは、バンド名を自由人から「PhilHarmoUniQue」へと改名した4人組。小林武史プロデュースも話題。

中国・四国地区 橘美緒 上木彩矢
『君去りし誘惑』

橘美緒は1990年10月5日生まれの17歳。スターライトオーディション審査員特別賞受賞。楽曲は、ガールズロックシーンで注目を集めている上木彩矢が担当。『君去りし誘惑』は6月に発売予定。

九州地区 寺本來可 秦 基博
『キミ、メグル、ボク』

新潮社『nicola』でモデルとしても活躍中の寺本來可は1993年2月16日生まれの15歳。楽曲担当は、昨年発表した1stアルバム『コントラスト』で一気にブレイクした注目の秦 基博。