京都・手描友禅作家「林裕峰」がデコ電に手を染めた理由

 都内某所にある隠れ家のような工房へ、私はくりすたるあーとの発明者である林裕峰先生を訪ねた。先生にお会いするには、まずホームページ「くりすたるあーと」のアート依頼の方法に記されている手順を踏まなければならない。お忙しい先生と連絡を取るのはなかなか難しかったが、やっと会える! 期待を胸に工房へ伺うと、林先生が笑顔で私を迎えてくれた。

 工房におじゃましてまず目に飛び込んできたのは、美しい着物と帯だ。もちろんこれは先生の作品で、とても高価なものである。先生は現役手描友禅作家なのだ。それなのになぜ、ケータイに塗装するお仕事をなさっているのか、伺ってみた。

すばらしい帯と着物。師のサイトによれば、怖くて触れないくらい高価なものだ 金糸銀糸を織り込んだ、美しい帯

林先生(以下、林):1990年に「花の万博(国際花と緑の博覧会)」という催事がありました。それに京友禅の帯を出展しようと、普段とはちょっと違うデザインを考えたのです。それは、本物のもみじの葉を帯に立体的に埋め込むというもので、それを仕上げるために、もみじの葉を閉じ込める樹脂を開発したのです。

 最初は押し花にしたり、フィルムで挟んだり、試行錯誤の連続でしたが、最終的に樹脂で固めるのが、一番葉がいきいき見えると分かったんです。しかし、この樹脂を固めるための機械がとても高く、帯だけに使うにはもったいない。そこで、実演販売で帯を購入してくれたお客さんへのサービスとして、お持ちのケータイや鏡に装飾をして差し上げたのが、そもそもの始まりです。

京太(以下、京):帯を買いにいらしたお客さんへのサービスの一環だったんですね。

林:そうです。最初は無料サービスでしたが、再度いらして「これにもくりすたるあーとを!」と言ってくださるお客さんが増えてしまいまして。機材も寝かせておいてはもったいないし、それじゃあ、仕事にしてみようかと思ったんです。

京:この樹脂は軽く弾力がありますね。

林:実は一秒で固まる樹脂なんです。弾力があり、しかも傷がつかないでしょう?これが他にはまねできないものなんです。開発には随分時間もかかりましたが、満足するものを作ることができました。じゃあ、ちょっとやってみましょうか。

無造作に並ぶ、先生の作品。やはりお弟子さんのものとは一味違う なんとiPod nanoにも! 液晶部分も樹脂でコーティングされているので汚れない

作業前のiPod。「とりあえず液晶部分だけコーティングして傷つかないようにしてあるんだ」 側面にも手を抜かない。こんな場所にも塗装できるのは、くりすたるあーとならでは

裏側にも純金粉をふんだんにつかった美しいデザイン 先生の時計。ここにもくりすたるあーとが!

PS2にもくりすたるあーと!美しく輝いています ぬ、濡れてる?ふ、拭かないと……

と、思ったら、これもくりすたるあーと カスタムジャケットも大人気!50人ほどもいるというお弟子さんに卸しているのだそう

立体感のある美しい鯉のカスタムジャケット

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