ここまで来たら、ごねる4歳の息子を置き去りに……

 中を全部見学すれば半日以上費やせるけれど、4歳児連れの私は、灼熱の太陽の下、早々に車のクーラーに逃げ込んで、次はAngkor Wat(アンコールワット)へ向かう。何しろ1日でこのあたりの遺跡を観光しようと思っているのだ。

 アンコールワット遺跡は、12世紀前半に30年の歳月をかけて建てられた寺院。木の建造物は既に壊滅してしまったが、石でできた門や仏像だけが残っている。修復作業をする地元の技術者が長い内戦でほとんど戦死してしまったため、日本のカリスマ石工が派遣され、技術者を育てる手伝いをしているとのこと。NHKのテレビ番組「プロジェクトX」にも取り上げられるほど、その過程は過酷だったようだが、このままではガラガラ崩れ落ちるのを待つのみという保存の悪さが目に付く。

 確かに保存状態の悪さは目に付くが、壁画は美しく伸びやかで、回廊は風情があり、実に美しい。石の遺跡の周囲には堀があり、その水に映るアンコールワット遺跡の荘厳さといったら!遺跡の周りに高くそびえるぽんぽんのような木は、サトウヤシ。上部に咲く花は砂糖が取れるという珍しいやしの木だ。遺跡とのコントラストがすばらしい。

 アンコールワット遺跡の入り口第一回廊に足を踏み入れようとしたそのとき「ボクはもうイッポもアルケマセン」と息子の声。すばらしい遺跡を目の前にして、中に入らないなんてそんなぁ……。

 なんとか説得するものの、テコでも動かない頑固な息子に手を焼いていると、絵葉書を売る少年が近づいてきた。「ワンダラー」と絵葉書を差し出す。いらないよと断ると、息子を見てにっこり。「遊ぶ?」「うん、遊ぶ!」子供同士の言葉にならない会話で、なにやら意思の疎通をし始めている。周りにいた子供たちも集まってきて、追いかけっこやら、ちゃんばらやら、楽しそうに遊びだした。あっけにとられる私に通訳のソネッツさんが「私が見ていましょうか?」と申し出てくださり、お言葉に甘えることにした。まったく子供はすごい。

アンコールワット遺跡入り口にて。西向きに建つため、午前中にくると逆光になってしまう。そのため午後やってきた(画像をクリックすると動画が見られます。AVI:7.57MB)

日本語ガイドのシネッツさん。やさしく美しく聡明なお姉さん。日本語も聞き取りやすく明瞭な発音だ。NCTニューカンボジアツアーズには「女性のガイドさんをお願いします」と頼んでおいたのだが正解! 子守させちゃってごめんね。日本に行きたいと言っていた彼女。来日したらぜひ我が家へ泊まってくださいね! お堀端に腰掛けて涼む、物売りの子供

すき間なく敷き詰められた石畳。技術の高さに驚嘆。こんなにきっちりですき間がないのに、雨水がたまらない構造になっているそうだ

アンコールワット遺跡参道。両脇はお掘 逆さ富士ならぬ、逆さアンコールワット。ポンポンが宙に浮かんでいるような巨大なサトウヤシがかわいい

「乗りたい!乗りたい!お馬~」と息子に叫ばれて、負けた。カウボーイハットと刀を借りてご満悦 子犬もお昼寝。アンコールワット遺跡内には、犬・猫・さる、なんと水牛まで見かけた

「絵葉書買わない?いらない?じゃあ、この子と遊んでもいい?」と寄ってきた凛としたお兄ちゃん。もちろん息子は大喜び 「私も遊んであげるー」と地元の子。5歳だそうだ

勝手に遊びだした子供たち。息子が手にしたおもちゃは、地元の子供達が貸してくれたもの(画像をクリックすると動画が見られます。AVI:12.9MB)

遺跡内の土産物屋。その子供達が学費を稼ぐため、絵葉書などを売り歩いているようだ。とっても明るくて悲壮感はない。食べるものに困ったりはしないのだろう 手工芸は素朴でかわいいものが多い。絹製品も有名だが、こういった店では100%シルクのものとはいえない

NEXTいよいよ「アンコールワット遺跡」回廊に突入!