ズームレンズを使うと遠くのものが大きく写せますが、ズームを効かせる(望遠)のと、効かせない(広角)のでは、大きさ以外にも写り方の特徴があることは、これまでにご紹介しました。

 今回は、望遠と広角について、別の視点から整理してみましょう。望遠と広角では「画角」が変わり、その画角を知るにはデジタルカメラならではの事情があります。

 まず、ズームで遠くのものが大きく見える、ということは狭い範囲を見ていることになります。この写る範囲の角度が「画角」(または写角)です。望遠にすると画角は小さくなり、ズームを効かせないと画角は大きくなります(だから広角なのです)。


レンズの説明などで使われる「画角」とは、フィルムやCCDに写る画面の範囲を、対角線の角度で表したもの。別名「写角」

焦点距離とは、レンズからピント面までの距離のことです。ズームレンズはこの焦点距離を変えることができます

 ところでカメラの世界では、長い間35mmの銀塩フィルムが世界中で使われてきました。このフィルムは36×24mmというサイズで、これが映像を映し出すサイズとなっていました。

 フィルムのサイズが一定なので、上のイラストの「焦点距離」さえ決まれば画角もおのずと決まってきます。たとえば次のようになります。

●35mmフィルムを使う場合の焦点距離と画角

焦点距離画角
28mm約74度
35mm約62度
50mm約46度
85mm約28度
135mm約18度
200mm約12度

 35mmの交換レンズを愛用していたカメラファンなら、これらの焦点距離はとてもなじみ深いものでしょう。特にズーム機構のない単焦点のレンズの場合、遠くのものを撮ろうと思ったら、わざわざ望遠レンズに付け替えないといけません。そんな面倒な作業をしながら、焦点距離の特徴を覚えるわけです。
 通常、レンズは焦点距離で区別しますが(「85mmで撮った」というように)、それは同時に画角も指していることになります。

 さて、話をデジタルカメラに戻しましょう。デジタルカメラの場合、フィルムの代わりにCCDを使いますが、この大きさが35mmフィルムのようにいつも決まったサイズではありません。CCDといえば画素数を気にしますが、実は大きさについても1/1.7型(対角線の大きさをインチで測ります)とか1/3.2型などさまざま。したがって、実際の焦点距離を言われても、画角が分かりません。
 そこで、35mmレンズに相当する焦点距離で、レンズを説明するのです。パンフレットなどに、レンズの焦点距離を記したあとに、(35mm換算)と書いてあるのは、そのためです。

 35mm換算という表現は、実はデジタルカメラに特有のものではありません。フィルムには、35mm判のほかにも、ブローニー判や、4×5(「しのご」といいます)など、より大きなサイズも広く使われています。これらのフィルムを扱うカメラのレンズも、実際の焦点距離だけではわかりにくいので、カタログには画角や35mm換算の焦点距離が参考値として記載されています。
 というわけでデジカメでも、それ以外のカメラでも、35mm換算の焦点距離を見れば画角が分かるので、どんな写真が撮れるのか想像かつくのです。