最近のインクジェットプリンターは、1440×720dpi(dot per inch)とか、それ以上の解像度の機種がほとんどです。プリンターの解像度がこんなに高いのに、200dpiの画像データだとプリンターの力を本当に引き出せてないのでは・・・と、不安に思うかもしれません。

 が、これには、次のようなワケがあります。

 デジタルカメラの色は、1ピクセルごとにいろんな色に対応することができます。どのくらいたくさんの色に対応できるかというと、約1677万色に対応しています。これを、フルカラーとかツルーカラーとか24ビット色といいます。24ビット色というのは、1ピクセルあたり24ビットのデータを要するからです。

 パソコンのモニターも、だいたい24ビット色かそれ以上ですから、デジタルカメラの画像の1ピクセルは、モニターの1ピクセルに対応します。モニタの解像度は、72dpi〜程度です。

 一方、インクジェットプリンターは、色の仕組みが違っています。最近のプリンターは、4色〜7色のインクをつかっています。4色プリンターなら、クロ、マゼンダ、シアン、イエロー という4色です。こんなプリンターから出せる色は、各ドットとも、この4色のどれかと、インクを使わない白の計5パターンなのです。

 モニターは、72dpiですが、1ドットの表示可能な色は1677万色、プリンターは 720dpiでも1ドットの表示可能な色は5色、ということになります。

 実際には、高機能のプリンターでは、インクの量で濃さを調節したりインクの色数も7色だったりしますから、プリンターの1ドットの色は5色よりも多い場合があります。それでも、フルカラーと比べると桁違いに少ない色しか出せません。

 1ドットごとの色の少なさを補っているのが解像度です。打ち出せる色数は少なくても、たとえば マゼンダ・シアン・マゼンダ・シアン・・・と繰り返すことで、人間の目からするとまったく別の色に見えます。プリンターの印刷結果を、虫眼鏡で拡大して見ると、いくつかの粒(ドット)で色を表現していることが分かります。

 ものすごく大雑把な言い方をすれば、デジタルカメラの1ピクセルを表現するのに、プリンタは数〜数十ドットが必要になります。プリンタの1440×720dpiは、デジタルカメラのような色の仕組みで言えばせいぜい300dpi相当なのです。

 画像データの解像度を300dpi以上に設定しても、その差はプリントに出てこないというのは、こんな理由からです。

 書籍や雑誌などのカラーページも通常は4色で作られています。が、そのときの写真データは、350dpiがよく用いられるのだそうです。

 ただし、文字の印刷は、画像の印刷とは違った方法がとられます。
 たとえば、「バナナパフェ」の「バ」も「パ」は、パソコンの画面では見分けが付きにくいでしょう。パソコンのモニターの72dpiという粗い解像度では、バとパをはっきり描き分けるだけのたくさんの解像度がないからです。

 パソコンのモニターの粗い解像度用の文字(フォント)は、パソコンのハード的な制約や、それでも人間は認識できるといった背景の上に成立しているのでしょう。写真と文字とでは、人間の認識の仕方も違うように、パソコンでの処理も違っています。

 画像データの場合、<このピクセルはクロ このピクセルは黄色…>といった色の並びがそのまま印刷に反映されますが、テキストデータの場合 <「バナナパフェ」の文字列をフォントはMSゴシックでフォントサイズは12ポイントで印刷>といった指示により印刷されます。

 そのため、「バナナパフェ」を印刷すると、濁音はテンがふたつ、半濁音はマルがはっきりわかる形にプリントされます。プリンターは解像度が高いので、文字の細部もきちんと表すことができるのです。また、文字は色でなくて形を見ますから、写真よりも高い解像度が生きてきます。

 そういうわけで、写真だけなら最低限の解像度の目安は200dpiであっても、写真に加えて細かな文字が入るときは、もう少し高い解像度として300dpi〜あたりを目安にしておくとよいでしょう。