これから数回にわたって、花の撮り方を見ていくことにします。すてきな花の写真を撮っている人は、往々にして花の生態にも詳しいものです。見どころの時期や生息している場所など、被写体のことをよく知っていれば、すてきな写真を撮るのに役立つのは間違いありません。しかし、それぞれの花に関しての解説は他に譲ることにして、今回はごく一般的な撮影のポイントを確認していきましょう。

●足を使ってベストポジションを探そう

 まず、花畑などの一面に広がる風景などの撮り方を検討してみましょう。一面に咲きほこっている花を見つけて思わずシャッターを切ったのに、撮影できた写真ではまばらに花が咲いているだけで美しくなかった、という経験はありませんか?

※画像をクリックすると拡大画像を表示します。

菜の花が一面に咲いていた河川敷です。花よりも河原ばかり目立ってしまい、見た目よりもずっと寂しい感じになってしまいました 密生したあたりにうんと近寄ってみました。余計な地面が写らないように、画面の下部は目の前に咲く花で埋めています。先ほどのカットに比べ、一面に咲いている雰囲気が伝わりました

 この原因のひとつは、人間の視覚の特性にあるようです。人間は、視野に入ってくる映像の中から、自分の興味のある部分にのみ意識が集中する傾向があるため、花以外が目に入らなくなりがちです。

 他にも理由はあります。ちょっとカメラに興味のある方なら、広々とした風景は広角で撮るのが基本、と覚えているでしょう。そこで、広々とした花畑をすべてフレームに収めたいと考えて広角に構えるのですが、そうすると花畑以外の不要な景色まで写ってしまいます。

 では、どうすればよいのでしょうか? デジタルカメラには、液晶ディスプレイというとても便利なものが付いています。そこでシャッターを押す前に、ディスプレイで画面全体をくまなくチェックしてみてください。そして、花の写っている割合が少ないようだったら、少しずつ花畑に近づくように動いてください。場合によっては、思い切って被写体に近づいたり、向きを変えて光の当たり方を変えてみるのもよいでしょう。少しかがんで視線の高さを変えたり、逆に被写体から離れて望遠側で捕らえてみても、思いがけない絵が撮れるかもしれません。

デジカメの光学3倍ズームで最も望遠側にして撮影してみました。望遠側で撮ると、より少ない花で画面いっぱいに埋めることができます 今度は逆に広角で撮っています。被写体に近寄っているので遠景は写っていませんが、離れた場所にある花も写って画面中花だらけになり、ちょっとした菜の花畑に見えませんか?

 せっかく出会ったすてきな風景なのですから、足を生かして歩き回り、納得のいく撮影ポイントを探してみてください。

●アングルを変えて撮影してみよう

 また、小さな花をラクして撮ろうとすると、どうしても上から見下ろた構図になりがちです。

小さな鉢に植えてあった花を見つけました。立ったまま撮ればラクですが、他の植木鉢や地面など、周囲にある余計なものまで入ってしまいます

 でも、うんと目線を低くして花を横から見てみたり、あるいは空が背景になるように花を見上げるような構図にすると、花の表情もずいぶん変わってきます。

同じ鉢をかがんで真横から撮ってみました。曇り空越しの柔らかい光も手伝い、優しい雰囲気になりました。背景を草むらにしたのも効果があったようです 低い位置から見上げて撮っています。小さな花ですが、力強い雰囲気になりました。レンズやディスプレイが可動するタイプのデジカメなら、こんなアングルも比較的ラクに撮れます

 ただし、青空が背景になる場合に注意したいことがあります。花に太陽の光が当たっていないと、花の色がくすんでしまいがちです。そこで、光が当たるようなポジションを探してみたり、フラッシュを強制発光させたりして撮影すると、花の鮮やかな色が出やすくなります。色はあとからレタッチで整えるという場合でも、元になる色がきちんと出ていればレタッチの作業もラクになりますよ。

先ほどの例で撮影した河川敷の菜の花も、アングルを変えると雰囲気がずいぶん変わるのがわかります。撮影に失敗しても画像を消去できるデジカメの利点を生かして、いろいろな角度から撮影してみましょう