前回は、市販されている小物の撮影キットを紹介・レポートしました。レポートのとおり、撮影キットは便利です。でも、手ごろな価格になってきたとはいえ、それでも1万円前後します。真のオークション商人となるには、儲けもないうちにこんなものを買ってはいけない、という意見も尊重したいものです。と、いうわけで、今回は、撮影用のボックスを自作して、撮影してみました。

   最初に、自作撮影ボックスを使ったときと使わなかったときの画像を並べてみました。青い紙の上におもちゃの車を載せて、キヤノンの400万画素デジカメ「Powershot S40」を三脚に固定して撮ったものです。撮影条件は両方ともフルオート。左側が室内の照明のみ、右側が撮影キットを使った画像です。この2枚は、被写体の車がとても小さかったので、若干トリミングしてリサイズしたものを掲載してます。

※画像をクリックすると拡大画像を表示します。


青い紙の上におもちゃの車をのせて、デジタルカメラはPowershotS40で三脚を使いフルオートで撮りました

自作の撮影キットを使っています。デジタルカメラの設定は同じです。車の下の影が薄くなりました

 撮影ボックスを使わなかった左の画像では、蛍光灯の上から当たっている光によって影が出ました。一方、撮影ボックスを使うとこの影が薄くなっています。車の色の表現は、色によって異なる結果になっています。薄いピンクの車はボックスを使わないほうが、メリハリがある色合いになっていますが、赤い車はボックスを使ったほうが立体感がハッキリと写っています。

 さあ、そろそろどんな撮影ボックスを作ったのか、種明かしをしましょう。実は、撮影キットはいらなくなったダンボールの箱を使っています。上面と前面を切り取って、側面にアルミホイルをはり、底から背面にかけて色の付いた紙をセットしました。上部にトレーシングペーパーをかぶせれば完成です。

撮影ボックスのベースにしたダンボール。ふたと、横において天井になる上面を切り取ります 前面と上面を切り取ったところ。この置き方で、アルミホイルなどを貼り付けていきます
アルミホイルを貼り、底面にバックとなる紙を敷いたところ。底に段差ができないように、切り取ったふたを青い紙の下に敷いています。 トレペで上部をおおって完成した自作ボックス。前面からのレフ板も作りました。小さなダンボールだったので、アルミホイルと青い紙はダンボールよりも手前まで伸ばしています。

   ポイントは、アルミホイルをいちどクチャクチャにして破れないように広げて貼り付ける点と、バックに敷く紙を底面から背面にかけて折り目がつかないように丸みをつける点です。どちらも両面テープで貼り付けるのが手早くてお勧めです。なお、ダンボールから切り取った部分を利用して、前面からのレフ板も作っています。

   作成費用は、トレーシングペーバーがバラ売りで30円、バックに敷く色付きのケント紙もA4なら20円ぐらいと、どう見積もっても100円はいきません。工作が好きな人でなくても安価に簡単にできるのが最大のメリットです。

 もうひとつの撮影例を紹介しましょう。こちらのほうが、ボックスの効果がわかりやすいかもしれません。


撮影キットを使わずに、青い紙と蛍光灯で撮った画像

自作の撮影ボックスを使って撮った画像

 撮影ボックスを使わずに、バック紙と蛍光灯と三脚で撮影したほうは、片側が暗くなり模様もハッキリしません。一方、自作ボックスを使ったほうは、光がまんべんなく回っています。ただし、前面のアルミホイルの反射で、部分的にてかっているのが残念なところ。反射の少ない白い紙に代えたほうがよかったようです。

   撮影結果からだけではわからないメリットもあります。左側の画像で使った青い紙は、撮影ボックスと同じサイズですが、床の上にただ置いただけだと、背景が途中で切れて紙以外の部分が写ってしまいます。

   背景が途中で切れないように、紙を敷き直したり、撮影アングルを変えたりと、セッティングだけで相当の時間がかかってしまうのです。一方、撮影ボックスはどうでしょう。背景の紙を背面に向けて丸く立ち上げることで、少ないスペースでも統一した背景が得られます。もちろん、被写体の大きさには限界がありますが、おもちゃの車の撮影ではセッティングは非常に簡単でした。

 さて、2回連続でちょっと大き目の市販の撮影キット、小型の自作撮影ボックスの効果を見てきました。以前にも、白い紙をレフ版に使った小物の撮影なども行っています。

 その結果、撮影ボックスを使うメリットは、白い紙と蛍光灯で撮影するのに比べて簡単に被写体の全体に光を回せることといえます。また、レフ板の当て方に苦労することもありません。設置にあたっては、毎回毎回、背景の紙を丸く立てる、といった手間がないのも良い点です。

   市販の撮影キットを使うメリットは、普段使わないときに簡単に小さく畳んでおけること、バック紙にキメの細かな上質なものが付属してくることでしょう。

   ただしボックスのデメリットもあります。一番気になったのは、光が回りすぎて、被写体(例えば、薄いピンクの車)によっては、メリハリがなくなりすぎるところです。また、ホワイトバランスがオートのままだとモノによっては光源の影響を受けがちなので、色重視のときはフラッシュを発光させた方がよい結果になった被写体もあります。

 こういった撮影ボックスのなきどころもありますが、総合的にみれば、撮影ボックスは、小物撮影におけるレベルの高いフールプルーフになってくれます。プロのカメラマンなら、撮影機器を使ってその場で最適なセッティングを作っちゃうのでしょう。特別な機材やノウハウをもっていなくても、昼間に直射日光のささない明るい窓際などで撮ったので(この状況をわかること自体がノウハウともいえますが)十分きれいに撮れるかもしれません。

 しかし、普通にデジタルカメラを使っている人なら、機材はもとより、場所や時間を選べないことが多いでしょう。気持ち的なところでも、ボックスを取り出すぐらいですから、三脚だって用意するはずです。そういった状況での最低保証としてのフールプルーフです。

 もちろん使い方によって、前回見たような、写りこみを徹底的に取り除くといった便利な使い方もできます。天井の蛍光灯といった点光源が光ることもありません。ただ、こんなプラスアルファのメリットを生かすには、ホワイトバランスをマニュアルで設定して色を整えたり、撮影ボックスごしに光の当て方を変えてみる、といったより慎重な取り扱いが必要になるのも事実ですが…。

 というわけで、撮影ボックスは、デジタルカメラに慣れてないし撮影に時間や手間も割けない人にはいきなりレベルアップの道具として、慣れた人にはもっときれいに撮るための道具となりうるものだと思いました。