『メタルギア』『ウイニングイレブン』といったコンソールゲームや、『ドラゴンコレクション』をはじめとするスマホゲーム、キッズゲーム『モンスター烈伝 オレカバトル』まで幅広く展開するKONAMI。PS4やXbox Oneという新たなプラットフォームが立ち上がる2014年は、コンソールゲームなどの伸長が期待されている。
 3月20日には、新世代機であるPS4やXbox One(日本では2014年9月4日発売予定)に対応した『メタルギア』シリーズの最新作『METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES』をリリース。世界マーケットを見据えた戦略タイトルの行方は、今年を占う試金石と言える。
 同社の田中富美明社長は、市場の変化のスピードに合わせつつ、現在力を入れている路線を引き続き踏襲するという。その経営戦略と背景にある考え方を明快に語った。

「急速な市場変化に対応するには社員教育しかない」と語る
コナミデジタルエンタテインメント代表取締役社長の田中富美明氏
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――2013年のKONAMIを振り返っての感想はいかがでしょうか?

田中富美明氏(以下、田中氏): 新開発したゲームエンジン「FOX ENGINE」の立ち上がりの状況や、ソーシャルコンテンツの方向感はだいたい想定通りです。とはいえ、ゲームのトレンドが、オフラインからオンラインになり、そしてソーシャルコンテンツへとものすごいスピードで変化している状況で、我々がキャッチアップしていくスピードに、ややアンマッチがあったのも事実です。またソーシャルコンテンツがWebブラウザ型からネイティブアプリへ移行するなかで、ネイティブアプリは、会社を支えるほどの大きな収益までには至りませんでした。

 Webブラウザ型は3~6カ月で制作し、そこから3~6カ月で収益化を見極めるのが大体のサイクルです。ネイティブアプリになると10カ月ぐらい制作に時間をかけて、スタートしてから収益化を見極めるまでに10カ月ぐらいかかります。制作期間や収益を見極めるサイクルは長くなっているのに、変化のスピードは速くなっています。市場変化にいかに対応していくかをさらに考えさせられた1年でした。

 ただ、ネイティブアプリ『ワールドサッカーコレクションS』のように、2013年6月からサービスがスタートし、しっかりと収益化しているものも多くあります。また新規タイトルにも力を入れており、今春には提供できると思います。

ワールドサッカーコレクションS
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――変化に対応しきれなかった理由は?

田中氏: KONAMIは数年前に『ドラゴンコレクション』というWebブラウザ型ソーシャルコンテンツのヒットタイトルに恵まれました。基本的なゲームの遊び方は、今のソーシャルコンテンツの基軸になっているタイトルだと思っています。しかし、インターネットの技術がものすごい勢いで進化し、それに合わせてスマートフォンに代表されるデバイスがどんどん高性能化すると、従来のブラウザ型とは違う遊びが求められ、それらを制作する技術(プログラミング)も変化が求められます。エンジニアのマインドセットや技術(プログラミング)も変化しなくてはならないわけです。

 我々にしてみると、Webブラウザ型のときに一度パラダイムチェンジがあり、スマートフォンのネイティブアプリでもう一度パラダイムチェンジする必要がありました。一方で、Webブラウザ型に出遅れたことで、ネイティブアプリに早く取り組んだ企業も多いと思います。

 もう一点は、KONAMIには成功体験のジレンマがありました。次に来るのがネイティブアプリだと分かっていても、『ドラゴンコレクション』をはじめとする多くのヒットコンテンツが生み出す大きな収益を守らないといけないという側面がありました。徐々に制作者をネイティブアプリにシフトさせようと思っていても、スキルチェンジに対する社員教育のスピードは十分ではありませんでした。

ドラゴンコレクション
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――それを克服するための対応策は?

田中氏: 市場の変化をキャッチアップするには社員教育しかないんです。簡単にいえばスキルセットの勉強会です。たとえばファミリーコンピュータが売れたときもファミコンの技術者を育てていたし、その後にゲーム機が16ビットになったときも対応してきました。ただ、自ら得たスキルを捨てて新しいスキルを得るのは各個人では大変なことです。昔からやってきていますが、そこに新しい方法はないと思っています。

 私たちのいるゲーム業界は変化が速く、アグレッシブに変わっていきます。かつては、オリンピックサイクルで進化していました。4年に1回のオリンピックイヤーに合わせて、テレビやカメラ、ビデオなどの家電メーカーが開発にしのぎを削り、それに使う半導体も4年サイクルで進化してきたからです。それにほかの業種もひっぱられていたわけですが、今は、そういう時代ではありません。いまやスマートフォンなどの変化に合わせて変わっていくので2年サイクルぐらいではないかと思います。かつての倍以上のスピード感ですね。