急速に売上と存在感を高めているスマートフォン向けゲームアプリ。中でも「パズル&ドラゴンズ」は、2012年の配信開始以降、App StoreやGoogle Playの売り上げランキングで、現在に至るまで首位をほぼ独占している。そのパズル&ドラゴンズを提供するガンホー・オンライン・エンターテイメントは、海外進出を積極的に推進するなど、企業としても大きな変化を迎えている。また、昨年ソフトバンクの子会社になった一方で、スマートフォンゲームで世界的に人気となったフィンランドのSupercellをソフトバンクと共に買収したことも話題を呼んだ。従来のゲーム市場とは大きく異なるスマートフォンというプラットフォームで、継続した人気を獲得している強みはどこにあるのか。そして今後、海外などに向けてどのような取り組みしようとしているのか――代表取締役社長の森下一喜氏に話を聞いた。

ガンホー・オンライン・エンターテイメントの代表取締役社長 CEO、企画開発部門統括 エグゼクティブプロデューサーの森下一喜氏
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スマートフォンがゲームに与えた影響とは?

――昨年のガンホーは、大きな注目を集めた1年だったといえますが、改めて2013年を振り返ってみて、どのような年でしたか?

森下一喜氏(以下、森下氏): 我々としてはサービス基盤をきちんと整備し、そのうえで「パズル&ドラゴンズ」を「パズドラZ」としてニンテンドー3DS向けに提供するなど、マルチユース展開によって生み出したタイトルの価値を最大化することに努めた1年でした。安定したサービス運用が、収益拡大だけでなくユーザーの拡大という結果に結び付いたといえます。

――急拡大の背景にはスマートフォンの普及も大きいといえます。スマートフォンがゲームにどのような影響を与えたと感じていますか?

森下氏: 今までゲームを遊んだことがない人や、昔ファミコンなどを遊んでいたけれど、離れてしまった人に興味を持ってもらえたことは大きいですね。自分自身もファミコン世代ですから、そうした世代の人々に、もう一度ゲームに対して面白さや興味を持ってもらえればいいなと思っていました。

 ですがより大きかったのは、人々のライフスタイルの隙間、例えば通勤通学の移動時間などに、ゲームが浸透したことではないでしょうか。それを象徴しているのが、パズル&ドラゴンズの“曜日ダンジョン”です。曜日ごとにコインや進化用のモンスターなど、手に入るアイテムを変化させることで、日々のプレイに目的を与え、プレイスタイルにも変化をもたらしたといえるでしょう。

――一方でスマートフォンは、ほかのゲームプラットフォームとは異なる難しさがあるように思います。

森下氏: スマートフォンでは、ゲームの寿命について聞かれることが多いですね。どのゲームも自分たちで生み出した子どものようなものですから、できる限り長く愛されるタイトルになってほしいと考えています。ですがスマートフォンは新しいデバイスなので、どれくらいユーザーが継続して遊んでくれるのかという記録がありません。そうした中にありながら、パズル&ドラゴンズを提供してから2年で、ダウンロード数だけでなく月間アクティブユーザー数(MAU)でも大きな成長ができたのは、我々が従来、オンラインゲームを手掛けてきたノウハウが通用した証といえるかもしれません。

 どうしてもパズル&ドラゴンズばかりが注目されてしまいがちなのですが、実をいうと、それ以降にリリースしている6タイトルは全て赤字を出していませんし、うち4本は売上が月1億円を超えています。極端な話をすれば、パズル&ドラゴンズがなくても上場できる規模を実現しているんですよ。

ニンテンドー3DS向けの「パズドラZ」
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800万ダウンロードを突破したアクションパズルRPG「ケリ姫スイーツ」。パズル&ドラゴンズ以外にもヒット作を多数開発している
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