約61億円の赤字となった2013年3月期決算から、社長を交代して再起を目指すスクウェア・エニックス・ホールディングス。2014年3月期決算の見通しは、グループ全体の売上高は大きく変化しないが、コストコントロールによる構造改革、家庭用ゲーム機やスマートフォン向けゲームアプリなどにヒット作が生まれ、黒字化へV字回復を果たしそうだ。その旗ふり役が、和田洋一前社長からバトンを受け取った松田洋祐社長だ。
 海外スタジオが開発する『トゥームレイダー』から、国内スタジオの『ファイナルファンタジー』『ドラゴンクエスト』などの強力IPを軸に、家庭用ゲーム機、PCオンライン、スマートフォンなどさまざまなプラットフォームで展開を続ける同社が、過去の成功体験から脱却し、新たな成長を求めて何にチャレンジするのか――。松田社長が考えるスクウェア・エニックスの新しいビジョンについて聞いた。

2013年6月に、スクウェア・エニックス・ホールディングス代表取締役社長に就任した松田洋祐氏
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――早速ですが、社長に就任されてから8カ月を経て、スクウェア・エニックス・グループの2013年度はどのような年でしたでしょうか。

松田洋祐氏(以下、松田氏): 業界全体にとってもそうかもしれませんが、非常に変化の大きい年だったと思います。2012年度の非常に厳しい決算から、私どもの会社にとって、今後どのように変化していくのかというのが、一番大きいテーマでした。具体的には、家庭用ゲーム市場向けのパッケージディスクのビジネスを、今後、どのように進めていくのかを問われたと考えています。

 その一方でフリー・トゥ・プレー(F2P:無料でできるオンラインゲーム)や、ネイティブアプリ(スマートフォンなど向けのアプリ型ゲーム)などが優勢になってきました。家庭用ゲーム機にフォーカスを当ててきたゲーム市場から、プラットフォームやビジネスモデルが分散して、お客様がゲームを遊ばれる環境や嗜好が変わっていく中で、我々の体制を考えなければいけない。そういった1年でした。

 そういう中で考えると、やはりゲームのオンライン化は方向性として不可避だと思っています。それとどう向き合っていくのか、すごく意識しなければいけない年だったと思いますね。

――そういう意識の中で、会社として何にトライされたのでしょうか。

松田氏: ゲームのビジネスモデルやゲームデバイスの選択、実際どういう方向で開発するのかも含めて、よくよく議論した上で、方向性を定めています。その結果、開発ラインは国内外を含めて、かなり変わりましたね。

――具体的に、どのように変わりましたか。

松田氏: 国内の開発体制は、スマートデバイス向けのゲーム開発を強化しています。海外スタジオについては、従来型の家庭用ゲームソフトのブロックバスター、AAAタイトルだけではなくて、オンラインを念頭に置いたゲーム開発へシフトするように、強力に推し進めていますね。ゲーム開発にはリードタイムがある程度必要なので、そうした開発体制の変化がゲームタイトルに反映されてくるのが、2015年3月期以降になると考えています。

――実際、組織としてもかなり手を入れたのですか。

松田氏: そうですね。お客様の立場に近づいて開発できるように変化させてきました。お客様の層とか、ゲームデバイスとか、ゲームを遊ぶ環境は分散化しています。家庭用ゲーム機で遊ばれるお客様でも、スマートデバイスで遊ぶときには、その遊び方も変わりますよね。また、従来のゲームファンとは違う新しい層のお客様に遊んでいただくなら、そのお客様の特性をよく考えて、ニーズに合わせたゲーム開発をすることは非常に大事です。そういったやり方に、開発プロセスを変えている段階です。