今年の夏はドキュメンタリー映画がアツい! NHKで放映された「ダイオウイカ」の映画館上映が決定したことをはじめ、伝説的な写真家ロバート・キャパの発表されていない写真に焦点をあてたもの、知られざる海外の現状をレポートしたものなど。子どもの自由研究として良い材料になるのはもちろん、大人でも感動することまちがいない。そんな魅力ある4本を紹介していこう。

若き日のキャパがわかる! 未発表作品続出『メキシカン・スーツケース』

(C) 212 Berlin/Mallerich Films(C) Magnum Photos/International Center of Photography, NY
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 “メキシカン・スーツケース”とは、メキシコで2007年に発見された3つの箱のこと。中身は伝説的な写真家ロバート・キャパが撮影したスペイン内戦の写真のネガだ。第2次世界大戦の混乱の中で所在不明になっていた4500枚以上のネガには、仲間の写真家で、キャパの恋人でもあったゲルダ・タローやデヴィッド・シーモア“シム”の作品も収められていた。

 パリのキャパのスタジオから持ち出され、70年以上もの間、行方知れずになっていたフィルムがメキシコにあるらしいという噂を知ったニューヨークの国際写真センター(ICP)の依頼を受け、調査にあたったメキシコ在住の写真キュレーター、トリーシャ・ジフが本作の監督だ。彼女が接触したのはメキシコ在住の米国人、ベン・ターヴァー氏。かつてのメキシコ大使で“スーツケース”を託され、メキシコまで運んだアギラール・ゴンザレス氏の友人だ。

 スーツケースとは名ばかりの、厚紙で作られた箱にきちんと整理されたネガには、1936年に共和制民主主義派とフランコ将軍率いる反乱軍との間に起きたスペイン内戦の生々しい様子が捉えられていた。まだ20代前半だったキャパ、タロー、シーモア、それぞれのスタイルが確立されていく過程も示すネガの数々は、当時の空気、共和国軍を支持してスペインからの亡命者を受け入れたメキシコとの関係をも蘇らせる。パリのキャパの暗室で働いていた助手のイメレ“チーキー”・ヴァイスの果たした役割とその後の人生など、数奇な運命をたどった“メキシカン・スーツケース”をめぐる物語は、まるで良くできた小説のようにドラマティックだ。

 本作は当時のキャパたちを知る関係者や、スペイン内戦を生き抜いた人々やその孫の世代たちの証言を織り込み、3人のカメラマンについてというより、数十年間封印されてきた歴史に光を当てる内容になっている。15歳から銃を持って戦ったと語る老人の「過去を見つめずに未来は築けない」という言葉が胸に迫る。

(C)Magnum Photos
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『メキシカン・スーツケース 〈ロバート・キャパ〉とスペイン内戦の真実』
監督:トリーシャ・ジフ
配給:フルモテルモ、コピアポア・フィルム
公開日:8月24日(土)より新宿シネマカリテほかにて全国順次公開
『メキシカン・スーツケース 〈ロバート・キャパ〉とスペイン内戦の真実』:公式サイト