2010年2月にSNSプラットフォームの開放を発表したグリー。同年6月からパートナー企業のソーシャルゲームを投入して以降、収益はうなぎ登りとなり、いまだその勢いは衰えていない。そして2011年にはソーシャルゲームの“先駆者”としてのプライドをかけて、スマートフォンと海外展開に向けて本格的に動き出した。同社の田中良和社長は「ソーシャルゲームを日本の新たな輸出産業に」と意気込む。同氏に昨年の好調要因を振り返ってもらいながら、新たな成長戦略について聞いた。
(取材/渡辺 一正=nikkei BPnet編集、酒井 康治=日経ビジネスオンライン編集)
※取材は2月中に実施しました
――ソーシャルゲームが、ゲームのジャンルとして非常に大きな一角を占めるようになりましたが、そのけん引役であるグリーにとって2010年はどういう1年でしたか。
「恋愛ゲームがここまで流行るのか、と驚いています」と話す田中良和社長
田中良和氏(以下、田中氏):昨年は大きく2つのトピックがありました。一つはオープン化です。
今でいうソーシャルゲーム、しかもモバイルで遊ぶというサービスは、日本はもちろん、世界中を見渡してもグリーが最初に手がけたものだと思います。ジンガ社が米国で始めたころと同じ時期に僕らもソーシャルゲームを始めたので、“ソーシャルゲームの先駆者”と言える立場なんじゃないでしょうか。
その後、弊社だけでなく他社もソーシャルゲームに参入してきたので、昨年6月にサードパーティーの方々にもゲームを配信していただけるようにプラットフォームを開放しました。
プラットフォームのオープン化によって、僕らが想像しなかったようなゲームがたくさん生まれました。例えば、「ここまで流行るものか……」と感心しているのが“恋愛ゲーム”です。戦国武将と恋愛したり、海賊と恋愛したり、生徒会長と恋愛したりと、いろんな相手と恋愛するのですが、そのどれもが人気があります。
もしグリー単独でゲームを開発していたら、恋愛ゲームというジャンルにたどり着けなかったと思います。開発前にきっとちゅうちょしただろうし、作ったとしても戦国武将や海賊といったところまで展開しなかったでしょう。でも、これほど人気があるということは、多くのユーザーがそれを望んでいたわけだし、僕らがわずかな違いだと思いこんでいた恋愛相手の種類が、ユーザーにとって大きな違いだということなんですね。
これまで、グリー本体が開発したゲームは全部で7本ほど。しかし、全体ではゲームは300本を超えており、これが毎月、どんどん増えています。こうしたジャンルの広がりやラインアップの充実という意味において、オープン化は大きな成果を上げました。
――そうすると、オープン化によって売り上げもかなり伸びたわけですね。
田中氏:一人当たりの利用金額も上昇している側面もありますが、オープン化を始めた2010年6月時点の日時の売上高を「1」とすると、同年12月はその30倍になりました。この数字はサードパーティーのみなさんが切磋琢磨して、本当にいいゲームをたくさん提供していただけた、ということに尽きますね。わずか1年足らずの結果であることを考えれば、いいゲームを作れる会社がこれほど集まっていただけたのは驚きです。
――もう一つの2010年のトピックはなんですか。
田中氏:スマートフォンへの対応を進めてきました。具体的なプロジェクトが表面化してきたのは今年に入ってからですが、2010年にそのための準備をしてきたところです。2010年12月、開発パートナーの方々に対して、スマートフォン向けの「GREE Platform for smartphone」の仕様を公開しました。世界を見ても、iPhone(iOS)やAndroidのネイティブアプリから、HTMLのWebアプリまでサポートしているプラットフォームはなかなかないと思います。
この2つに追加して、海外戦略を実行し始めたのも2010年でした。「mig33」というケータイ向けのSNSを展開する米国のProject Goth社に出資しました。このSNSは、インドネシアなど新興国を中心に4000万人もの会員を抱えています。こうした海外展開の背景には、僕らがやってきたビジネスが、世界でも通用するということが次第に分かってきた、ということがあります。
まとめると、2010年は主にオープン化に力を入れて、スマートフォン化と世界戦略の準備を行ってきた、ということになりますね。
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