2010年の家庭用ゲーム機市場は前年比91%の4936億6000万円(エンターブレイン調べ)と縮小を続けているものの、スマートフォン(高機能携帯電話)やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などコンピュータゲームを遊ぶ場は逆に増えている。2011年は久しぶりに家庭用ゲーム機(ハードウエア)に新機種が登場するなど、薄日も差しつつある。

 そうした厳しい荒波にもまれたスクウェア・エニックス・グループ。期待の最新作『ファイナルファンタジーX IV』のPS3版の発売延期や、新作『デウスエクス』などの発売延期が響き、2010年度(2011年3月期)第3四半期時点累計で、営業利益が前年比58%減の約90億円と厳しい数字を残した。

 一方で、2011年度はこれら家庭用ゲーム機タイトルの立て直しとともに、ソーシャルゲームやスマートフォン向けタイトルなどの拡充を図る計画だ。そうした中、「これからも厳しい経営環境が続くと予測され、ものすごい淘汰が始まる」と予測する和田洋一社長。荒波を乗り越えるための次の一手とは?

(聞き手/渡辺 一正=nikkei BPnet編集)

――まず、CESA会長の立場として見た場合、ゲーム業界にとって、2010年はどんな1年でしたか。

「これから先、激しい淘汰が始まります」と、変革期の厳しさを語る和田洋一社長

和田洋一氏(以下、和田氏):ゲーム業界全体としては、市場がさらに広がった年でした。ここ数年のトレンドですが、明らかにマーケット全体は広がっています。

 家庭用ゲーム機市場にフォーカスすると、売れるゲームタイトルと、売れないタイトルの差がこれまで以上にはっきりしてきました。そこそこ売れたという、中間地点のゲームタイトルがなくなったと見ています。一部のゲームタイトルだけがヒットし、それ以外は苦戦するという状況がここ数年続いていましたが、2010年ほど極端ではなかったですね。この厳しい状況はこれからも続くと考えています。

 一方、家庭用ゲーム機向けでないゲームタイトル――つまり携帯電話やスマートフォン、アジア圏で普及しているPCオンラインゲームなどの市場は、急速に成長しています。

 家庭用ゲーム機タイトルで売り上げランキング上位に入ったかどうか、またはスマートフォンなどの新しいプラットフォームでヒットが生まれたかどうか、それによって、ゲーム会社の明暗がはっきりしたと言えるでしょう。ほとんどのゲーム会社が新しい市場向けも手掛けていますが、急成長しているソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)向けゲームに特化しているゲーム会社は、その市場の成長に乗ってすごい勢いで伸びています。まだら模様だったゲーム業界でしたが、そのまだら模様がさらにくっきりしてきました。

 こうした経営環境がしばらく続くため、これから先、激しい淘汰が始まると考えています。流れに追いつけないデベロッパーやパブリッシャーは脱落していく、という非常に厳しい時代を迎えることになると思います。ただし、ゲーム市場全体をとらえれば、伸びていくでしょう。