年々深化するディープなカレーの世界。本格的なインド料理店が方々に立ち並び、家庭のカレーも「日本人のカレーライス」からよりスパイスを追求した味に変化してきているという。実際に、10年前に比べれば、スーパーなど身近な小売店で入手できるスパイスの種類も圧倒的に増えていることに気づいた人も多いだろう。そこで近年の傾向から2010年のカレーのトレンドを、カレー&スパイス伝道師、渡辺玲さんに解説してもらった。

ジャンル自体は混沌とするカレーのトレンドだが、食べ方が変わってきた

 渡辺さん曰く、カレーの全体のトレンドは、混沌としている。

 女性がターゲットだからヘルシー志向のカレーがはやるとか、メガ盛りブームだからカレーもメガ盛りでなどということもない。また、「カレー鍋」「朝カレー」がはやり出したのは2009年冬のことだが、どちらもカレーのジャンルや種類のトレンドというよりは、カレーの食べ方のトレンドであって、料理としての「●●カレー」には、決定打がないのだという。

 「ただ、トレンドが一つのジャンルや一つのカレーに絞りにくい半面、いろいろなものが登場していてそれぞれにこだわりを持っているということがいえます」。

日本人の国民食的な「カレーライス」も食べ方が進化。こちらは荻窪の「インド風カリーライス すぱいす」の骨付きチキンカリー 840円(画像クリックで拡大)

 現在カレー店はジャンルが多様化し、それぞれがより本格志向になっているのだという。これは、消費者側のニーズによるところも大きいだろう。「カレーライス」といえば日本の国民食とも考えられ食卓に上る回数も多いが、それだけに、外食のメニューとしてとらえるのであれば、より本格的に、と考える人が多いようだ。

 「普通のカレーに飽きているという部分はあると思います。日本人の性向として、新しいものが好きだということはありますから」

 では、食べ方としてはどんなトレンドがあるのか。

「たとえばカレーを食べながらお酒をたしなむ、ということですね。以前はスパイシーなものはワインには合わせない傾向がありましたが、この2、3年で変わってきました。ビアガーデンに行って飲むというようなことと同じ選択肢の中に加えられるようになったというか。

 また、インド料理店だけの話ではありませんが、接待需要が激減したこともあり、カレーを食べることを、個人でゆっくり楽しむような傾向が高まってきているといいます。ファストフード的にサッと食べて帰るのではなく、味わって食べて、時にはうんちくを語りながらというような」