青森県にシジミ研究を訪ねて
島根県(宍道湖)に次いで、全国第2位のシジミ産地・青森県。津軽半島の十三湖や小川原湖など淡水と海水がまじりあった汽水域の湖に、ヤマトシジミが生息している。地元では“黒いダイヤ”と大切にされ、肝臓に良いと言われ、今でも、バイクや軽トラックで「シジミ買いや~シジミ、とれたてのシジミ貝」とシジミ売りが来るそうだ。
青森県の産物では、イカやホタテも思い浮かぶ。肝臓のケアには、良質のタンパク質、タウリン、アラニン、ビタミンB12なども有効だとされているが、タウリンはイカやホタテにも多いし、アラニンはハマグリにも含まれている。なぜ、昔からとりわけシジミが肝臓に良いと伝えられ、“飲んだ翌朝はシジミの味噌汁”と言われてきたのだろうか。そのヒミツがほかの食材にない、シジミのオルニチンという成分だったのだ。これを明らかにしたのが、青森県産業技術センター工業総合研究所の内沢秀光環境技術部長だ。

内沢 秀光(うちさわ・ひでみつ)
青森県産業技術センター工業総合研究所 環境技術部長
1962年生まれ。1988年青森県産業技術開発センター技師、03年青森県工業総合研究センター統括主任研究員(組織改編)、09年より現職。専門分野は応用生物化学で、青森の県産物に関する数多くの基礎研究を手がけている。