発売中の日経トレンディ4月号では、航空業界の今後を予測する特集「激変! エアライン」を掲載している。激動期を迎え、一躍注目を集めているのが、09年6月に創業したばかりの新興エアラインだ。

 富士山静岡空港の開港に合わせて新規参入したフジドリームエアラインズ(FDA)。静岡空港から石川県小松、熊本、鹿児島の3路線を運航する。知名度が全国区になったのは、JALの経営破綻とその後の路線撤退騒動。JALが運航していた静岡空港の札幌・新千歳線、福岡線に加え、JALが完全撤退を決めた信州まつもと空港の2路線も肩代わりすると表明した。

 親会社は、江戸時代に廻船問屋として創業し、港湾物流などを手がける地元企業の鈴与。両社の社長を8代目鈴木与平氏が兼任する。苦戦が報じられる静岡空港に参入、1年も経たないうちにJALの撤退路線までをも引き継いだ真意と狙い、勝算を聞いた。

――航空事業への参入を決めた理由は何か。静岡空港については、その存在意義についても賛否があるが。

FDA社長の鈴木与平氏。親会社の鈴与社長は世襲制で、代々「与平」の名を継ぎ、氏で8代目。98年にJリーグ・清水エスパルスの会長、01年には静岡朝日テレビの取締役に。大学時代にグライダーを趣味にするなど、飛行機好きとしても知られる(画像クリックで拡大)

鈴与兼FDA社長 鈴木与平氏(以下、鈴木社長): 参入の最大の理由は静岡空港ができたことだ。もともと物流業者として静岡・清水港で仕事をしてきたが、“空の港”ができるのであれば、そこでも成功の手助けができないかと考えた。

 静岡県にとって静岡空港は必要。これからの日本の大きなテーマは地域の自立だと思う。変な見方かもしれないが、静岡空港がなくなれば、東京や名古屋の空港に世話にならないと海外にも行けないし、北海道や九州にも行けない。ある意味では、地方が大都市へ従属することになってしまう。本当に地方が大都市に頼らないで自立しようと思ったら、地方と地方が手をつないで文化のレベルを上げていくしかない。静岡空港はその架け橋となる。その架け橋でFDAを役立てたい。

09年6月に開港した富士山静岡空港。静岡県東部は成田・羽田空港、西部は名古屋・中部空港とエリア的な競合が指摘され、需要と存在価値を疑問視する声も少なくない(画像クリックで拡大)

地元で港湾物流などを手がける鈴与が、子会社としてフジドリームエラインズを設立。09年7月、静岡空港の発着路線に就航した(画像クリックで拡大)