ビートルズが活躍した時代のモニタースピーカーを再現した
Stirling Broadcast「BBC LS3/5a V2」
Stirling Broadcast「BBC LS3/5a V2」
実売価格:23万6250円前後
Stirling Broadcastの「BBC LS3/5a V2」は、世界的な名機といわれるモデルの復刻版です。KEFを創業したレイモンド・クックが作った「LS3/5a」という小型のBBCモニタースピーカーの設計図は各社にライセンスされ、10社以上がLS3/5aを作りました。そのときのユニットはKEF製のものと指定されていましたが、今では、KEFのLS3/5a用ユニットが製造中止になり、各社のLS3/5aは中古市場でもすごく高値が付くことになりました。それをLS3/5マニアで収集家のスターリングという英国の放送局の経営者が、趣味が昂じて自分で作ってしまったのが「BBC LS3/5a V2」です。
指定のKEF製ユニットがないため、同じ特性のものをデンマークのメーカーに発注して製作しました。現存する現役LS3/5aシリーズとしては唯一BBCからモニターの認可を得た、正式の復刻版です。
LS3/5aは当時BBCの多くのスタジオ、中継車でモニターとして使われていたものです。ビートルズは当時BBCテレビやBBCラジオに出演していますから、そのときの音はこのスピーカーの音だというわけです。
コンパクトな2Wayスピーカーで見た目は普通ですが、この音はひじょうに素晴らしいです。実は僕も評論家を始めた当初はLS3/5ユーザーだったんですよ。
音にとても透明感があって、整った音調があり、中域のしなやかさというか粒子感があります。オーディオ的には「粒立ちがいい」といいますが、きらきらした粒ではなく、きれいに音の粒が並んでいて、それがぎっしり詰まっている感じです。輝いているんじゃなくていぶし銀的なマットな感じですが、それが感覚的に耳触りがいいのです。中域が少し寝ているのも耳あたりがいいですね。音の情報量が多いというか、整然とした粒子感が多いといった方がいいかもしれません。清潔感があってひずみも少ないです。現代調のワイドレンジ感のしゃっきりした音とは違い、英国ならではのウエルバランスが耳に心地よいです。リマスターでは、しなやかで、清潔なビート感が大いに楽しめました。ビートルズ=BBC= LS3/5aという三題噺で花が咲きそうですね。
製作したスターリングさんが収集家だということもあって、各社が作ったLS3/5の“いいとこ取り”をしている感じがします。このブランドのLS3/5から中高域の良さをもらおうとか、ここからはスピード感とか、それらを合わせたような。
このスピーカーで聴くのであれば、ビートルズはもちろんのこと、女性ボーカルのさわやかな質感にも合っています。こってりとした艶や色気ではなく、さわやかな清涼感があるスピーカーです。クラシックにも合いますね。考えてみれば当たり前で、モニタースピーカーだから音を選り好みしちゃいけないんですよ。モニターとしてはアナウンサーの男性の声がきちっと判別できるのが基本で、それに加えて音楽が聴けるというのが重要なのです。
復活したビートルズが活躍した時代のモニタースピーカーにて、リマスターによってクリアになったビートルズを聴くというのは、なかなかおつなものだという気がします。








