千葉・幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2009」が2009年10月10日に閉幕した。今回のCEATECの話題をさらったのはパナソニック、ソニー、シャープなどが出展し、2010年の発売を目指す「3Dテレビ」と、東芝が12月に発売する超高速CPU「Cell Broadband Engine」搭載液晶テレビ「CELLレグザ 55X1」だ。
デジタルメディア評論家で、日本画質学会の副会長も務める麻倉怜士氏は、今回のCEATECをどう見たのか。3Dの今後の展望について語った前編に続き、後編は東芝が発表した注目のフラッグシップテレビ「CELLレグザ 55X1」などについて語っていただこう。
水平分業の超付加価値化を実現した東芝「CELLレグザ」は他社の道しるべ
今年のCEATECでは、東芝がCEATEC直前に発表した「CELLレグザ」もたいへん注目を集めましたね。CELLレグザの本質は水平分業に徹したというか、「水平分業の超付加価値化」を実現した点にあります。
シャープは「亀山パネル」を前面に押し出してアピールしました。それに対して、東芝は韓国のLG電子やサムスン電子、シャープなどのパネルなどを使いながら、これまで信号処理の部分で差別化を図ってきました。その試みはREGZAシリーズの映像エンジン「メタブレイン」で結実しましたが、それを徹底的に高めていこうと取り組んだのが「CELLレグザ」です。
まずは位置付けをはっきりしましょう。今後テレビ業界において重要になっていくのは、「差別化とはいったい何か」ということです。「パネルの差別化」も一つの手段ですが、パネルは多くの会社に売らないと利益が出ません。シャープの「亀山パネル」や新工場の「堺パネル」も、当然シャープだけで使うことはあり得ません。
パネルだけによる差別化は難しいとなると、日本メーカーがこれから目指すべきことは何か。それは、信号処理によって画質や音質を高め、付加価値を与えることであることは明白です。
CELLでテレビができるなど、実際にモノが出るまで誰も信じていませんでした。(CELLを搭載するプレイステーション3を生み出した)ソニーが投げ出したものを、なぜ東芝が使いこなせるのか。しかし東芝は一つのことを思い込んだら愚直にやり続けるところがある会社です。
メタブレインの成功の影には住吉さん(東芝デジタルメディアエンジニアリング デジタルメディアグループ デジタル映像商品技術担当 TV映像マイスタ プリンシパルエンジニアの住吉肇氏)の存在がありました。彼は最初の「メタブレイン・プロ」(2005年10月発売の「液晶 beautiful“face”Z1000シリーズ」に搭載)を作った際に、かなりぜいたくな処理回路を採用して社内で袋だたきにあいました(笑)。
半導体というのは、そのときに最適なものを、なるべく小さく作るという掟(おきて)があります。しかし住吉さんはかなりの余裕を持ったハイスペックな処理回路を作ったため、「何と無駄な!」と社内で責められました。しかしそのおかげで、その後、倍速駆動や超解像処理を行うLSIなどを追加しながら、4年近くも同じプラットフォームを使い続けることができたのです。
CELLレグザが搭載する「CELLプラットフォーム」も、現時点ではまだかなりのオーバーキャパで、その能力をほとんど使い切っていません。「SpursEngine」(東芝が開発した、CELLの半分程度の能力を持つマルチメディア処理LSI)でも結構使えるくらいじゃないでしょうか。でもこれからCELLを使っていくとなれば、メタブレインと同じような発想で順次、機能を追加することで、より使いこなしていくことになるのでしょう。これからが楽しみということですね。
















