大手外食チェーンが新業態として「ハンバーグ専門店」を出店するケースが増えている。なぜ今、そろってハンバーグなのか。
「ハンバーグは老若男女に支持され、ターゲットとなる年齢層が幅広い」と語るのは、「陶板焼きハンバーグ 俵屋」を展開する日本レストランシステム社長室の八軒利文氏。たしかに、国民食ともいえるハンバーグを嫌う人は少ない。
また、苦戦を強いられ、不採算店舗の閉鎖が相次いでいるファミリーレストランの影響も大きいようだ。ハンバーグといえば、ファミリーレストランの代名詞。ハンバーグを気軽に食べられる場所が減っている今、ハンバーグ専門店は十分に勝算のあるビジネスといえる。
さらに、今回取り上げたハンバーグ専門店に共通するのは、いずれも都心立地であること。「ハンバーグ大魔王」を展開するコロワイド東日本・ビーライン営業本部長の阿部 聡氏は、「都心にはハンバーグ専門店チェーンがほとんどない。日常性があってニーズも高いのにライバルが少ない、というのが参入した理由。ハンバーグ専門店が増えるのは自然の流れ」という。
外食のニーズは、「なんでもある」店から専門特化された店へとシフト。しかし、ハンバーグだけで勝算はあるのだろうか。「スタート当初はそれほど大きな期待をしていなかったが、今ではグループ内の業態の中でも主力になりつつある」(日本レストランシステム・八軒氏)という。
人気の秘密は、一つに専門店ならではの味の良さ。例えば「炭火焼ハンバーグカキヤス」では、国産牛肉をベースに、黒毛和牛、国産豚肉をブレンドし、炭火で焼き上げている。肉のうまみが十分に味わえる完成度の高いハンバーグだ。ころんとしたげんこつのような俵型のハンバーグが特徴の「俵屋」は、内側と外側を同時に加熱できるグリルを開発し、うまみと肉汁を閉じこめたジューシーな味わい。チーズやグラタンソースをハンバーグの中に包み込んだアレンジハンバーグも充実している。「ハンバーグ大魔王」は、ふんわりとジューシーな口当たりで、肉の味もしっかり。子供のころから慣れ親しんだ懐かしさを感じるやさしい味だ。また、この店ではタツノコプロとライセンス契約を交わし、「ハクション大魔王」をイメージキャラクターとして使用。インテリアにもハクション大魔王の世界観を反映させた空間が面白い。
いずれのハンバーグも、総じておいしい。ファミリーレストランのそれに比べると、素材に高級感が感じられ、ソースのバリエーションも豊富。メニューの絞り込みによってコストダウンを図っていると思いきや、専門店にとっては、ハンバーグの質が命。原価率はファミリーレストランなどに比べて高いようだ。外食チェーンが展開するハンバーグ専門店は、手軽にちょっとした贅沢感を味わえる使い勝手のよい新業態といえるだろう。
(文/永浜敬子)











