フランスでは、大木の上に小屋を設置する「ツリーハウス」が注目を集めている。自然をより満喫できる個人用のセカンドハウスとして、または一風変わったホテルとして建てられることが多い。
日光浴用のテラスだけを備える簡易な造りのものから、風呂付きの四つ星ホテルまで、建物の形態はさまざまだ。土台となる木は、「健康な大木」であることが第一条件。オークや松の木などが使いやすく、反対に、果物をつける木や成長中の木は向かない。専門の建築家によると、作業時には環境を考慮し、「土台となる木に釘を一本も打たないこと」、そして「枝は折らないこと」に気をつけているという。
ツリーハウスに特化したホテルの最大手「キャバンオンレール」が手がけたホテル「キャバン・ド・グラヴィル」は、パリ南東の郊外にあるフォンテーヌブローの森近くに位置する。2軒あるツリーハウスは、両者とも1室だけの小部屋ではあるが、クチコミで人気が広まり、予約は1カ月待ちの状態が続いている。客はカップルが中心で、特に恋人に贈るサプライズの誕生日プレゼントとして、予約する人が多い。
このツリーハウス・ホテルには、電気も水道も通っていない。夜は闇が深いので、ロウソクの明かりに加え、宿泊客は額にランプを装着して過ごすことになる。小屋は地上7〜9mという高さにあるため、暗いときは足元が特に危険であり、一度小屋に上ったら最後、基本的には朝まで下に降りられない。食事は紐でつながれたバスケットの中に入れられ、地上にいるスタッフが樹上の小屋へと届ける仕組みだ。
トイレは備え付けてあるが、水道がないので、備えてある木の屑で汚物を隠す。汚物は後で肥料として使う。地上の便利な生活に慣れた人にとっては不自由な面も多々あるが、かえって「新鮮な体験」と、好評を得ている。料金は1泊115ユーロ(約1万6000円)だ。
ツリーハウスをフランスで流行させたパイオニア的存在の建築事務所社長アラン・ロラン氏は、「ツリーハウスは、子供のころにみなが憧れた・秘密の隠れ家・を思わせる。大人になり、子供だった昔の自分の夢を叶えるため、注文する人が多い」と語る。気になる建設費用は、小屋の大きさや用途によって幅広く、約2万〜9万(約280万〜1240万円)の間になる。
ロラン氏の事務所には、スペイン、スイス、イタリア、ベルギーなど、近隣諸国からの注文も舞い込むようになった。今後はヨーロッパ全土に、ツリーハウスの輪が大きく広がっていく可能性がある。
(文・写真/林 瑞絵、写真提供/キャバン・ド・グラヴィル、キャバン・ペルシェ)
http://www.lacabanedegraville.com/
http://www.la-cabane-perchee.com/










