「原油価格の上昇も、ほとんど負担にはならなかった」──。

 星野リゾートが運営する「星のや 軽井沢」は、2005年のリニューアル時に画期的な省エネ設備を導入。消費エネルギーの7割以上を自然エネルギーで賄う、最先端エコ施設に変貌した。

 旅館で最もエネルギー消費量が大きいのは、暖房や給湯のためのボイラー設備。星のやの省エネ対策の中核は、リニューアル時に新たに導入した地熱や温泉廃熱の利用システムだ。

 同館の大浴場から出る排水は冷たい。排水される時点ですでに熱が奪われ、暖房や給湯に再利用されているためだ。温排水を川に流し、生態系に影響を与えることも防いでいる。

 この、発生した熱を別の場所で使うシステムを「水冷式ヒートポンプ」という。冷房の廃熱も再利用するなど、暖めたい場所と冷やしたい場所の間で熱を融通し合うことで、施設全体のエネルギー効率を高めているのだ。

 このほか、敷地内の3カ所に「地中熱」と呼ばれる地下の熱を取り出す“井戸”を設置。地下400mまでパイプで水を送ると、15℃の水が25℃程度に加熱されて戻ってくる。「日本の土地に合わせて独自に改良した設備で、効率は欧米標準の約10倍」(同社)という。結果、地中熱と温泉廃熱の合計で、エネルギー消費量全体の6割近くをカバーする。