2008年に国内のプレイステーション 3(PS3)史上最大のヒットとなった『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』をリリースしたKONAMI。昨年秋には、アミューズメント機の『クイズマジックアカデミー』を家庭用ゲーム機向けに展開、年末からは、iPhone/iPod touch向けタイトルのリリースを開始するなど、様々なプラットフォームでコンテンツの新たな遊び方を提供し続けている。コナミデジタルエンタテインメントの田中富美明社長に、今後のゲーム市場の動向や同社の戦略について聞いた。(聞き手:秦 和俊)

――2008年度を振り返りどのような1年でしたか。

コナミデジタルエンタテインメント代表取締役社長田中富美明氏
(写真:佐藤 久)

田中氏:ポイントは3つあります。1つ目は販売本数が好調に推移したことです。その背景には、昨年6月に発売した『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS(MGS4)』(PS3)が世界中から高い評価をいただき、『メタルギア』シリーズ全体で約450万本(2008年12月末現在)のセールスを記録したことがあります。

 2つ目は為替による影響です。2008年の第1四半期と第3四半期では、ポンドで25%、ユーロで20%、米ドルで15%程度差があります。当社のゲームソフトの売上比率は、日本を1.5とすると、アメリカが1、ヨーロッパが1くらいの割合になります。それぞれの地域では順調に売上を伸ばしているのですが、連結決算時に為替差損の影響を受けました。海外での売上比率が大きい当社にとって、為替の問題は、これからの課題の1つと認識しています。

 3つ目は小売店さんの資金繰りの問題です。昨年のリーマンショック以降、確実に売れる商品しか仕入れない、という傾向が強くなっています。

――確実に売れる商品しか仕入れないという動きが積み重なると、売れるタイトルはより売れ、それ以外は全く売れないというタイトルの二極化が進むことになりますね。

田中氏:そうですね。米国の昨年12月のチャートを見ましても、トップ3のタイトルがさらにセールスを伸ばしています。ヒットするかどうか分からない新しいタイトルは、なかなか仕入れてもらえません。二極化がさらに進んでいるというのが実感です。

――では、昨年後半から言われている「消費の冷え込み」というのは、ゲーム業界においてはユーザー自身のマインドというより、小売店の環境による影響の方が大きそうですね。

田中氏:はい。小売店さんを取り巻く環境は、深刻になっていると思います。

――この二極化により、制作体制はより大型タイトルにシフトしていくのでしょうか。それともチャレンジタイトルも継続していきますか。

田中氏:チャレンジは続けていきます。ここでチャレンジを控えると、次のフランチャイズタイトル(看板タイトル)は生まれてきません。ただし、中途半端なものではダメなので、しっかりやっていきます。

――この小売店を取り巻く環境が生み出す二極化を避けるためには、ユーザーに直接ゲームを届ける方法を真剣に考える時期でしょうか。

田中氏:考えなければなりませんね。これまでは、プロモーション活動をして、小売店さんに商品のご説明をすることで、タイトルを仕入れていただき、棚に並べていただけていたこともありましたが、今はそのような状況ではありません。

 小売店さんに加え、さまざまな場面でタイトルの訴求を工夫していかないと、新しいフランチャイズは展開しにくくなっています。

――その具体的な訴求手段は何でしょうか。

田中氏:ネットですね。具体的には「Wiiウェア」や「PlayStation Store」などの活用です。大型タイトルをダウンロードで販売するということではなく、ちょっとした遊びを提供するようなタイトルを展開して、まずは“つかみ”を相互に確認したいと考えています。