2009年4月1日、コーエーとの共同持株会社の設立を間近に控えるテクモ。元社員でトップクリエーターの座にあった板垣伴信氏による会社の提訴に始まる一連の動きの中で、スクウェア・エニックスによる友好的TOB(株式公開買い付け)の提案、最終的なコーエーとの経営統合の合意など、テクモにとっての2008年は、まさに激動の1年だった。2009年1月に新社長に就任した阪口一芳氏に、コーエーテクモグループの一員として、テクモがどのような戦略を描いているのか聞いた。(聞き手:秦 和俊)

――2008年度のテクモのタイトルの状況はいかがでしたか。

テクモ 代表取締役社長 阪口一芳氏

阪口氏:ワールドワイドにおいては、『NINJA GAIDEN 2』(Xbox 360)を昨年6月にリリースし、年末までに110万本のセールスを記録しミリオンを達成しました。世界で「Team NINJA」の開発力がきちんと評価されていることの表れだと感じています。日本以外のパブリッシングをマイクロソフトさんが行ったことも、タイトルのブランディングにつながったと思います。

 国内においては、特にニンテンドーDS(DS)向けのタイトルでさまざまなチャレンジを行いました。未就学児向けに『親子で遊べるDS絵本 うっかりペネロペ』、ゲームへの回帰ユーザーを狙ったRPG『ノスタルジオの風』、Team NINJA初の携帯型機参入となる『NINJA GAIDEN Dragon Sword』などです。

 また、『DS 西村京太郎サスペンス2』や『DS山村美紗サスペンス』といった「DSサスペンス」シリーズを展開する中で、サスペンスゲームというジャンルにおける当社のブランドを確立することができましたし、従来のテクモのユーザーにはいなかった新規の顧客層を開拓することができました。

――これまでテクモが「Team NINJA」ブランドで得意としてきたコア層とは別に、カジュアルなユーザー層の開拓に成功したわけですね。

阪口氏:そうですね。「DSサスペンス」シリーズでアンケートをお送りいただいた方の中には、最高齢で80歳の方がいらっしゃいました。従来の展開では考えられなかったユーザー像ですから、そのような顧客層を取り込めたことは評価に値すると思います。

『NINJA GAIDEN 2』
(C)TECMO,LTD. Team NINJA 2008(画像クリックで拡大)

『DS 西村京太郎サスペンス2 新探偵シリーズ 金沢・函館・極寒の峡谷 復讐の影』
(C)2008 Kyotaro Nishimura. All rights reserved. (C)TECMO,LTD. 2008 プロデューサー: 設楽 昌宏

――「DSサスペンス」シリーズは、ゲームファンというより主にサスペンスファンが手を伸ばしたといえるのでしょうか。

阪口氏:購入者アンケートなどから分析しますと、従来のように日常的にゲームをやられる方だけに買っていただいたという感じではなかったです。西村京太郎、山村美紗両先生のファンの方をはじめとして、サスペンスドラマやミステリーファンが大部分を占めていました。

 このシリーズでつかんだ顧客層のさらなる満足度向上につながるような展開をしていきたいと考えています。今後、シリーズを継続させていくことはもちろん、新作の立ち上げも検討しています。