2008年末商戦は『ファイナルファンタジー』シリーズの携帯ゲーム機向け新作で堅調な売り上げを記録したスクウェア・エニックス。『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』の発売延期やアミューズメント事業の不振などで09年3月期の決算を下方修正したものの、来期の売り上げとして300万本超の数字が見込まれる。『ファイナルファンタジー』シリーズ最新作の発売も徐々に近づいており、2010年にかけて盛り上がりそうだ。

 「ゲーム業界激動の年」となる2009年について、同社社長で、社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)会長でもある和田洋一氏にその戦略や業界展望、取り組みなどについて聞いた。(聞き手:渡辺 一正)

スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏

――2008年末、09年年始商戦の手応えはいかがでしたか?

和田氏:そうですね。予想通りという意味で堅調でした。この年末商戦で特に注目していただいたのは『ディシディア ファイナルファンタジー(FF)』です。

 これまでとはちょっと違ったプロモーションを展開した結果、好調な販売本数だったと思っています(※2009年2月1日現在約86万本:ファミ通調べ)。

 2008年秋口からゲーム市場全体が変調したので、当社グループについても出荷本数などにもっと影響が出るかと思っていました。しかし、結果的には想定した範囲内の数字でした。

――「ゲーム市場全体が変調した」というのはどういう意味ですか?

和田氏:小売店を取り巻く環境が厳しくなったということです。数多くのゲームタイトルが小売店を通して、パッケージ商品として流通しています。(経済不況のあおりを受けた金融機関の貸し渋りが起きると)小売店の経営が揺らぎかねません。

 資金面で苦しくなると、小売店は従来通りに幅広く商品を仕入れるのではなく、限られた予算の中で確実に売れるタイトルに絞り込まざるを得なくなります。たとえ最終顧客に購入する気があったとしても、店頭に並ぶ商品が少なくなり、結果的に売れるタイトルとそうでないタイトルの二極化が起きます。

 小売店は、顧客が買ってくれるという自信を持てないタイトルを仕入れないということが現実となるのです。この現実は、売れるかどうかが未知数の新作タイトルが世に出るチャンスも少なくなることを意味しています。

 資金繰りが難しいこの時代に、借金をしてタイトルを仕入れるのですから、売れるタイトルしか扱わない、また扱えないという論理もよく分かります。

 年末に出荷した『ディシディアFF』は、有力タイトルと評価していただけました。ありがたいことに、小売店が仕入れてくれないという事態は起きませんでした。その結果、堅調な数字を記録できたのだと思います。

 いずれ、このような時代が来るだろうと思っていました。しかし、本当に厳しい状況は、09年末商戦に来るだろうと予想しています。特に米国市場は日本国内よりも大きな影響が出て、有力タイトル数本に売り上げが集中するという動きが顕著になると見ています。

――それはなぜですか?

和田氏:実は、08年末の米国市場はそれほど致命的ではありませんでした。“リーマンショック”で始まる市場の暴落は、08年10~11月だったからです。

 小売店における受注活動は08年9~10月に終えていましたし、それより以前に資金面の手当てが済んでいたからです。

 大量に商品を仕入れられたので、その結果、販売は好調でした。その分、本当の厳しさは09年末にかけて来ると想定しているべきでしょう。日本国内も似たような状況だと考えています。

「本当の厳しさは2009年末にかけてくる」と厳しい予想をする和田社長