初回の空間変身術は「壊せない耐力壁はインテリアに取り込む」だ。

 築約30年の団地内にある住戸の、全面リフォーム事例。以前は、ダイニングキッチンやリビング、各個室が分かれていて使いづらい上、約80m2の床面積にもかかわらず閉塞感を感じさせる住まいだった。

 この悩みを解決する上での最大の障壁は、建物が鉄筋コンクリートの壁構造だったこと。ほとんどの間仕切りと垂れ壁が耐力壁と梁の役目を担っており、撤去はおろか、穴も開けられない状況だった。

 設計の依頼を受けたファウナ・プラス・デザインの廣瀬慶二さんは、構造部分を一切傷付けることなく、建具類とその枠を撤去して家全体をワンルームに変更することを提案した。

 間仕切り壁と垂れ壁はどうしても視界に入ってくるので、空間になじむよう意匠に工夫を凝らした。具体的には、南側のリビングダイニングのほぼ中央に位置する間仕切り壁に、天井高までの木目調仕上げ材を施し、巨大な木の柱に見えるようにした。また、垂れ壁と天井を曲面でつなげて間接照明を加え、天井に奥行き感を持たせている。

AFTER リビングダイニングのほぼ中央にある木目調の柱が、撤去できなかった間仕切り壁を活用した部分(画像クリックで拡大)

BEFORE 左の写真のリフォーム前の状態。リフォームで木目調にした柱の左側に室内建具があった(画像クリックで拡大)

ダイニングは曲面天井にし、直管形白熱電球のリネストラランプを取り付けた。陰影が天井の低さを感じさせにくくする(写真と図面提供:ファウナ・プラス・デザイン)(画像クリックで拡大)

壁の裏や吊り戸棚の上に間接照明を仕込み、空間に変化を付けている(画像クリックで拡大)