組織を超える「プロ意識」
3つ目のキーワードは「プロ意識」だろう。杉下右京は組織人である。いくら優秀でも、警察を飛び出して探偵事務所を開いたりはしない。骨の髄まで「警察の人」であり、ルール違反は犯さない。法律には違反しない。そして、一度事件に取り組めば、かならず事件を解決する。つまり職務を全うするわけだ。
『相棒』にはありとあらゆる動機、犯人像が登場する。なかには、他人にだまされて殺人を犯してしまうような同情したくなる事件もある。右京は事件に巻き込まれた人たちの心の機微を理解している。でも「罪は罪」として犯人を逮捕する。それが杉下右京のキャラクターだ。「義理よりも人情よりもプロ意識」――この徹底した職業人ぶりに惚れ込むファンも少なくない。
仕事をもっていると、ブレずに生きるということがとても難しくなる。会社のために信念を曲げなければいけないことだってあるかもしれない。そんな状況に置かれている視聴者は、たとえ自分の所属する組織の腐敗に切り込むことになってもいささかのためらいもなく突き進む特命チームの行動に拍手を送る。
(文/折野 冬葱)













