コントローラ直付けでコスト削減

 コントローラについては、さらに当初の計画から変更になった点が二つある。コネクタ接続をやめてケーブルを本体に直接つなげたことと、二つ目のコントローラにマイクロフォンを付けたことである。

 コントローラを本体直付けにしたのは単にコスト削減を図るためである。基板を設計した時点ではコネクタを付けるつもりだったために、コネクタ・ケーブルが意味もなく本体内部をはい回ることになった(図4)。

 ファミコン開発当時は、製品が10年以上も売れ続け、コントローラが壊れるほど遊び込まれるとは思っていなかった。実際、普及したあとに玩具店などから、なぜ交換が容易なコネクタ接続にしなかったのかという不満の声が上がっている。

 二つ目のコントローラにマイクロフォンを付けようと言い出したのは上村自身だった。テレビ受像機から自分の声が出るだけで面白いに違いないという思いつきだった。ただし、実際にはあまり利用されなかった。

 コントローラ用のコネクタは削ったが、15ピンの拡張端子だけは確保した(図5)。業務用ゲーム機の気分で遊べるようにとオプションでジョイスティック・レバーに対応することにした。コンピュータらしさを消そうとしたファミコンだったが、のちにこの拡張端子に接続するキーボードも製品化することになる。ファミコンを使ったコンピュータ言語の学習ソフトが登場した。ただし、あまり長続きはしなかった。

図4 コントローラは本体に直付け
 コスト・ダウンを図るためにコントローラは本体に直接接続することにした。写真は本体を裏返し、裏蓋を開けて撮影したもの。右側が前面。基板の前面から出したコネクタ・ケーブルがぐるりと後ろに回っているのが見える。これは本体前面にコネクタを付けようとした名残という(画像クリックで拡大)

図5 15ピンの拡張端子を備える
 ファミコン本体の前面には、キーボードなどを接続するための拡張端子がある(画像クリックで拡大)