高音質録音が可能なICレコーダーが密かなブームになっている。ソニーが2005年11月に実売20万円という高級リニアPCMレコーダー「“デジタルデンスケ”PCM-D1」を発売し、1970年代の「生録ブーム」を過ごした人々に注目を集めた。その後ローランドが2006年4月に普及価格帯の「R-09」を発売し、ブームに火が付いたと言える。
こうした流れから、これまでビジネスや語学学習向けに用途が絞られていたICレコーダーにも、「リニアPCM録音」という新しい機能が注目されてきている。上記以外にも「Voice-Trekシリーズ」を展開するオリンパスや「DIPLY TALKシリーズ」をそろえる三洋電機などのICレコーダーの定番ブランドからも、リニアPC録音の音質に着目した生録モデルが登場した。
リニアPCMレコーダーに注目が集まっている理由は、簡単に言うと「生音の再現性の高さ」にある。単なる「ボイス録音」向けで言えば、携帯音楽プレーヤーの“おまけ”的なものとして多くのモデルが採用するボイスレコーダー機能でも事足りる場合も多い。しかしそういったモデルでは満足できない一部のビジネスまたは趣味用途としてICレコーダー製品が発展してきた。
アイデアや企画などを記録する備忘録的な使い方から、英語などの語学学習、会議室やホールなどでの発言や講演内容などの録音まで、さまざまな用途に使えるようにICレコーダーは進化してきた。独自の記録形式からMP3やWMAなどの標準規格を採用するようになり、記録するメモリーが安価になったこともあって音質も向上。しかし趣味として「音を楽しみたい」という人を満足させるまでには至っていなかった。
そこで登場したのがリニアPCMレコーダーだ。感度の高いマイクを搭載し、音楽CDよりもさらに上を行く高音質を追求。携帯音楽プレーヤーのボイス録音機能とICレコーダーの違いが「音声の明瞭さ」にあるとすれば、ICレコーダーとリニアPCMレコーダーの違いは「空気感の再現性」にあると言える。たとえMP3形式の同じビットレートで記録したとしても、その奥行きや空気感には明らかな違いが現れるのだ。
それでありながら、リピート再生や可変速再生などICレコーダーに必須の機能なども備えており、これまでICレコーダーを使い続けてきたユーザーにも納得のいくものとなっている。ICレコーダーの新規購入や買い替えを検討している人は、少し範囲を広げてリニアPCMレコーダーにも注目しておきたい。
群雄割拠の様相を呈してきたリニアPCMレコーダー。「ビジネスにも、趣味にも使える」という観点から、その選び方を紹介していこう。
音質、それとも携帯性? スペックで見るリニアPCMレコーダー選び
今回紹介する生録向け小型リニアPCMレコーダーは、ザックリと2つのタイプに分かれる。1つは24bit/96kHzの最高音質を追求したモデルで、もう1つは16bit/48kHzや24bit/48kHzなど音質面で若干割り切ったモデルだ。
●生録機寄りの本格派24bit/96kHz対応モデル
| メーカー名 | オリンパス | ZOOM | ローランド | ソニー |
| 製品名 | LS-10 | Handy Recorder H2 | R-09HR | PCM-D50 |
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| 実売価格 | 4万9800円 | 2万5000円 | 3万9800円 | 5万9800円 |
| 記録メディア | 内蔵2GB、SD/SDHCカード(最大8GB) | SD/SDHCカード | SD/SDHCカード(最大32GB) | 内蔵4GB、メモリースティックPRO-HGデュオ |
| 録音方式 | リニアPCM、MP3、WMA | リニアPCM、MP3 | リニアPCM、MP3 | リニアPCM |
| 最高音質 | 24bit/96kHz | 24bit/96kHz | 24bit/96kHz | 24bit/96kHz |
| マイク端子 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| LINE IN端子 | ○ | ○ | ○ | ○(光デジタル兼用) |
| LINE OUT端子 | ─ | ○ | ─ | ○(光デジタル兼用) |
| ヘッドホン端子 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 電源 | 単3形アルカリ電池、ニッケル水素充電池×2 | 単3形アルカリ電池、ニッケル水素充電池×2 | 単3形アルカリ電池、ニッケル水素充電池×2 | 単3形アルカリ電池、ニッケル水素充電池×4 |
| 連続録音時間 | 約10時間(ニッケル水素充電池) | 約4時間 | 約4.5時間 | 約13時間(モニターあり、ニッケル水素充電池使用) |
| 本体サイズ | 約131.5 × 48 × 22.4 mm | 約63.5 × 110 × 32 mm | 約62 × 113 × 27 mm | 約72 × 154.5 × 32.7 mm |
| 重さ | 約165g(電池含む) | 約110g(電池含まず) | 約174g | 約365g |
●気軽に使える24bit/96kHz非対応モデル
| メーカー名 | 三洋電機 | ケンウッド | TASCAM |
| 製品名 | ICR-PS1000M | Media Keg MGR-A7 | DR-1 |
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| 実売価格 | 3万5000円 | 3万4800円 | 2万9800円 |
| 記録メディア | microSD / microSDHCカード | 内蔵2GB、SD/SDHCカード | SD/SDHCカード(最大32GB) |
| 録音方式 | リニアPCM、MP3 | リニアPCM、WMA | リニアPCM、MP3 |
| 最高音質 | 16bit/48kHz | 16bit/48kHz | 24bit/48kHz |
| マイク端子 | ○ | ○ | ×2 |
| LINE IN端子 | ○ | ○ | ○ |
| LINE OUT端子 | ─ | ○ | ○ |
| ヘッドホン端子 | ○ | ○ | ○ |
| 電源 | 単3形アルカリ電池、ニッケル水素充電池×1 | 内蔵リチウムイオン充電池 | 内蔵リチウムイオン充電池 |
| 連続録音時間 | 約22時間(付属充電池) | 約12.5時間 | 約7時間 |
| 本体サイズ | 約46.5 × 129.5 × 17.5 mm | 約52.7 × 100 × 18 mm | 約70 × 27 × 135.3 mm(突起部含まず) |
| 重さ | 約92g | 約95g | 約208g(電池含む) |
では、これらのスペックをどう見ていけばいいのか。続いて、リニアPCMレコーダーの選び方を紹介していこう。


















