変速なし、ペダルと車輪の動きが常に直結するピスト
シンプルで壊れにくい、そして独特の乗り心地

 東京の街なかで、第1部、第2部で特集したロードバイクと同じくらい、いや、それ以上のスピードで増えているのではないかと感じるのが「ピスト」と呼ばれる自転車だ。ピストという言葉がここまで街中でよく聞かれるようになるなど、数年前に誰が予想しただろうか。ちょっと前までは競輪選手が競技用に使ったり、ロードレースの選手がペダルをスムーズに回転させるスキルを身につけるために乗ったりする特別なものだった。だが、今やそのファッションなども含めた「ピストカルチャー」なるものまで生まれ、一般ユーザーも乗り始めたのだ。

 ピストとはいったい何なのか、そしてその魅力はどこにあるのか。

 ピストとは、変速機能が一切ない「シングルスピード」で、しかも普段、私たちが使用している自転車には必ずある「フリーギア」(以下、フリー)と呼ばれるものがない自転車のこと。普通の自転車は、ペダルの回転を止めても自転車は惰性で走り続ける。これを実現しているのが、フリーだ。一方、固定ギアで、ペダルの動きと後輪の動きが直結しているのがピストの特徴。つまり、走り始めたら足を動かし続けないといけないし、止まるときも、完全に停止するまで足は回り続けるのだ。乗りこなすにはコツがいるが、その“人車一体感”には独特の魅力がある。また、変速ギアがないということで、軽量で壊れにくいのも特徴だ。

ロードバイク編で紹介した「アンカー RNC3」(左)と、ピストバイク「レモン フィルモア」(右)を比較してみると、全体的なルックスは似ているものの、ピストバイクには変速機などのメカが付いておらず、シンプルな佇まいなのがわかる