アーケードでの地道なプロモーションと、家庭用ゲーム機Xbox 360で発売するまでの苦労。そんな紆余曲折を経て、ネットを中心に一大ムーブメントを巻き起こした『アイドルマスター』。前編に引き続き、バンダイナムコゲームスの開発陣にインタビュー。この後編では、『アイドルマスター』というゲームの現在と未来を問う。

左からXbox 360版ディレクター小野田裕之氏、Xbox 360版プロデューサー坂上陽三氏、アーケード版ディレクター石原章弘氏の3人。『アイドルマスター』の現在、そして未来についてもカギを握る人物だ

ツッコミどころのあるゲームの内容が、ユーザーに想像の余地をあたえる

――アーケード版からXbox 360版へと移行するにあたっての苦労の甲斐あって、ユーザーさんには大変好評で、数ヶ月前からネット上での大きなムーブメントになっていますね。

坂上:僕がXbox 360版『アイドルマスター』を手掛けるときに思ったのが、ツッコミどころが満載なゲームだなと思ったんです(笑)。曲はすべて内部で作っていますし、声優さんも新人の方を中心に起用しています。ゲーム自体も飛びぬけてここが新しいという部分もないですしね(笑)。でも何時間か遊んでいるとすごく面白くなってくるし、キャラクターへの思い入れも高まってくる。『アイドルマスター』というゲームの総合的な魅力が、お客さんに受け入れられたと思うんですね。

 そんなツッコミどころのあるつくりが、ユーザーの「同人心」をくすぐるんでしょう。思い入れのあるキャラクターを「俺だったら彼女をこういうふうに見せたい」という心理が、自分でイラストを描いてみたり、動画を編集して人に見せたり、ということにつながるんだと思うんです。そんな楽しみかたをしてほしいというのは、開発当初からあったので、非常に嬉しいことですね。

――SFロボット作品になったアニメーション『アイドルマスターXENOGLOSSIA(ゼノグラシア)』の展開は驚きました。

坂上:あのアニメの展開は特にそうなんですが、ユーザーさんに勝手に遊んでほしいということがあるんですよね。『アイドルマスター』という作品を受け止めたときのインスピレーションから新たな楽しさが出てくれば成功だと思うんです。

――特にこうでなければいけないっていう、カタはないんですね

坂上:そうです。むしろそういうカタは外していきたいんです。

石原:アーケード版の開発当初から、キャラクターの特徴を全面的に押し出していないんです。遊んだユーザーさんへの想像の余地を残すと同時に、人間くささも出しているんです。たとえばきれい好きな人でも電車でつり革につかまったり、洗濯物をためちゃうことだってありますよね。あえて多少の突っ込みどころを用意しておいたほうが、人間味があふれるんですよね。アニメーションやドラマCDなどでの展開も、キャラクターたちのさまざまな一面を少しずつ出していって、人間味を出しているんですね。

――声優さんのキャスティングもその流れで?

石原:そうですね。キャラクターを完全にゼロから作りたかったということもあって、声優さんの名前が前面に出てしまうと、どうしてもそちらに気を取られてキャラ作りが難しくなってしまいますからね。それともうひとつは、歌が歌えること。これは絶対条件でしたね。オーディションでは1人に2曲ほど、得意な歌を歌ってもらいました。

登場キャラクターは10人。性格や能力はまちまちで、この中からプロデュースする人物を選ぶのだ。ゲームを進めてプロデューサーとしてのランクが上がると、複数人のユニットもプロデュースできる
(C)窪岡俊之 (C)2003 2007 NBGI

NEXT開発陣は現在のネット上でのムーブメントを意識していたのか?