Ai AF VR Zoom Nikkor ED 80-400mm F4.5-5.6D
ニコン 希望小売価格:24万1500円 実売価格:19万8000円 発売日:2000年11月03日

TOMCATのレンズリポートといえば、Sexyな女性とレンズのコラボレートが看板になりつつあるが、今回も美脚と赤いヒールとレンズを組み合わせて撮影した。実は、それまで別のカットを撮っていたのだが、休憩時にモデルさんが椅子に座っている時に美脚が目に付き、急遽こんな感じで撮影してみたのだ

 今回チョイスしたレンズは、ニコンとしては初めて手ぶれ補正機構を内蔵した望遠ズームレンズ「Ai AF VR Zoom-Nikkor ED 80-400mm F4.5-5.6D」だ。筆者は、ポートレートを主体とした撮影が多いので、このような焦点距離のレンズはあまり出番がないのが現状だが、それでも必要になるシーンはある。例えば、今回の作例で掲載しているような、コンサートやライブの撮影などだ。

 このレンズは、5倍の望遠ズームとしては比較的軽量コンパクトで、三脚座は付いているが手持ちでも十分に振り回せる。価格は決して安価ではないが、EDレンズを3枚搭載しており、高倍率ズームとしては収差も十分に補正されているため、使い勝手もよい。さらに、手ぶれ補正機構のおかげで、ありとあらゆるシーンで活躍してくれるので、筆者的にはとてもコストパフォーマンスのよいレンズだと思っている。

 発売が2000年と多少古いこともあり、デジタルカメラ用に設計されているというアナウンスはないが、筆者が使っている範囲では解像度も問題なく、不満はない。

この写真は、去年のジャパンツアーの大阪公演の際に撮影したもの。二胡奏者のレイ・インさんが、現在では中国でも奏者が少ないといわれる独弦琴を演奏しているシーン。レイ・インさんが独弦琴でリードしている様子をピンで切り抜きたかったので、400mm端で撮影。ISO800まで感度を上げたため、100%に拡大するとノイズは目立つが、しっかり解像しているのが分かる。こういう悪条件のシーンでも、一脚なしでここまで撮影できるのは頼もしい(ニコン D2X、ISO800、1/60秒、F5.6、焦点距離=400mm)
(女子十二楽坊「日本公演2006」より (c) MUTURE COMMUNICATIONS INC.)

 筆者の自己紹介にも書いているが、私はもともとモータースポーツカメラマンということもあり、今でも年に数回モータースポーツの撮影をすることがある。その際に流し撮りをするのだが、このレンズの手ぶれ補正は、水平方向の流し撮りの時には垂直方向の補正をし、垂直方向の流し撮りの際には水平方向の補正をしてくれる。特別な操作なしでセンサーが判断し、それらの作業は自動的に行われるのだ。

 手ぶれ補正には2つのモードがあり、「モード1」はシャッターボタンの半押し状態から補正が始まるため、ファインダーを覗けばぶれが補正されているのを実感できる。「モード2」は、露光の瞬間だけ補正を行うモードだ。筆者がこのレンズを使う際は、マニュアルフォーカスを使うこともあるので、モード1を使うことが多い。400mm端で使う時でもファインダー像がぶれず、ピントが合わせやすいからだ。

 私にとって、このレンズが手ぶれ補正初体験だったのだが、最初は本当に感動したものだ。一脚も使っていないのに、400mmの手持ちでファインダー像が止まって見えるのだから、それはもう本当に感動したし、ビックリした。

 ただし、より新しい他の手ぶれ補正レンズは改良されているのかもしれないが、このレンズは手ぶれ補正機構が停止すると、「カックン!」という感じでファインダー内の像が動く。これがなんとも不思議な感じで、最初はなかなか慣れなかった。

これは、先ほどのレイ・インさんの写真を撮ったのとほぼ同じ場所から、ステージ上のメンバー全員を撮影したもの。ステージの装飾までは入り切らないものの、メンバーのフォーメーションは写せる。メンバー一人一人の顔が小さくなり、さすがに解像感は落ちるが、それでもギリギリ解像している。少しでも機材を減らして動きたい撮影の時、このレンズは真価を発揮する。極端にいえば、このレンズ一本でコンサートのすべてを撮影することも可能なのだ(ニコン D2X、ISO800、1/60秒、F5.6、焦点距離=80mm)
(女子十二楽坊「日本公演2006」より (c) MUTURE COMMUNICATIONS INC.)

上と同じ状況を、大口径標準ズームレンズ「AF-S DX Zoom Nikkor ED 17-55mm F2.8G」で撮影した。上の写真と比較すると、さすがにデジタル専用設計ということもあり、解像感は若干高い。しかしながら、この距離から各アーティストのピンを撮るという芸当は不可能だ。こういう現場での撮影では、解像感だけではレンズを評価できない。筆者の場合、もちろん解像度も重要なのだが、さまざまなファクターがうまくバランスされているレンズを評価したい(ニコン D2X、ISO800、1/160秒、F4、焦点距離=48mm)
(女子十二楽坊「日本公演2006」より (c) MUTURE COMMUNICATIONS INC.)

 さて、冒頭でも書いたように、このレンズはポートレート撮影では使ったことがないのだが、そういう用途に不向きなレンズかというと、そうとも限らない。光学系は3枚のEDレンズで武装しており、絞りも9枚羽根の円形絞りを採用している。ただ、開放絞り値が広角端でF4.5、望遠端ではF5.6になるので、あえてそういう撮影では使わないだけのこと。ましてや、デジタル一眼レフに装着すると120-600mm相当になり、超望遠レンズといわれる焦点距離になるので、ポートレートには長すぎるだろう。

 しかし、ライブ撮影やコンサート撮影などでは、この焦点距離が武器になる。作例を見ていただければ分かると思うが、会場全域の写真からアーティストをピンで撮りたい写真まで、このレンズ1本でこなせる。そして、一脚も使わず手持ちで撮影できるのだから、これほど素晴らしいことはない。

 唯一残念なのは、オートフォーカス駆動用に超音波モーターが採用されなかったことだ。条件にもよるが、現状でも十分な合焦スピードが確保されているので、筆者的にはその点で特に不満があるわけではない。むしろ、オートフォーカス駆動時の動作音の方が気になるのだ。このレンズの動作音が特別に大きいわけではないのだが、コンサート会場のような場所では、少しでも静かな方がありがたいからだ。

 著者にとっては起用機会こそ少ないものの、ないと困るレンズであることは確か。偏ったジャンルの製品だが、それゆえに代わりとなるレンズが存在しないのだ。

筆者紹介 TOMCAT
モータースポーツカメラマンのはずが、気が付いたら女の子しか撮らないカメラマンになっていた! 最近、お腹周りに貫禄が出てきて、ローアングルの撮影が苦手になりつつある…。口癖は「大丈夫! 何か写ってるよ!」。

■結成5周年を迎え、さらに魅力を増す「女子十二楽坊」に注目!
 「自由」で華々しい日本でビューを飾った「女子十二楽坊」は、中国の古典楽器を操る美女エリート集団だ。彼女たちが奏でる音楽は繊細かつ優雅で、それでいてパワフルで爽快。2006年に結成5周年を迎え、さらに洗練されたパフォーマンスを披露し、多くのファンを魅了し続けている。
●「女子十二楽坊」公式サイト…http://www.muture.co.jp/artists/joshi/index.html