手ぶれ補正と高倍率で人気の標準ズームレンズ

キヤノン EF24-105mm F4L IS USM



キヤノン

EF24-105mm F4L IS USM

希望小売価格:15万2250円

実売価格:12万9800円

発売日:2005年9月28日

このモデルの注目ポイント ライバル機種はズバリこれ!
・超広角から望遠域までを広くカバー
・シャッター速度で3段分の手ぶれ補正
・Lレンズならではの発色とシャープネス
・キヤノン EF24-70mm F2.8L USM
・シグマ 24-70mm F2.8 EX DG MACRO
・トキナー AT-X 280 AF PRO
・タムロン SP AF28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO

 この「EF24-105mm F4L IS USM」(以下、24-105mm)は、IS(イメージスタビライザー=光学式手ぶれ補正機構)を搭載したキヤノンEFマウントの標準ズームレンズだ。2005年10月に「EOS 5D」と同時に発売が始まり、両者を組み合わせたキットも販売されている。

 発売当初はメーカーの予想を上回る注文が殺到する一方で、初期生産品にはシャワー状のゴーストが発生するという問題があった。その回収・修理が重なり、品薄状態はなんと半年以上も続いていたのだ。

 私も、昨年のゴールデンウイークに購入を考えていたが、どの販売店も納期は未定という状況。ようやく入手できたのは3カ月後の8月で、たまたま訪れた中古店で、入荷したばかりの新古品にありつくことができた次第だ。もっとも、現在は在庫も潤沢なようだ。

フルサイズ機にベストマッチなスペックなのだが…

 キヤノンの標準ズームといえば、プロやハイアマチュアに絶大な人気がある「EF24-70mm F2.8L USM(以下、24-70mm)」がある。微妙にスペックは異なるものの、どちらを選ぶかは悩ましいところだ。私もよく相談を受けるが、双方にメリットとデメリットがあり、結局よいアドバイスができないことが多い。

 夜間や暗部での撮影が多いとか、常日ごろから背景をボカして撮影をしている人ならば24-70mmで決まりだが、そうでなければ私はこの24-105mmを勧めたい。少なくとも、私自身はどちらか一本といわれれば、こちらを選ぶだろう。

EOS Kiss Digitalシリーズに付属する標準ズームレンズ(右)と比べれば、さすがに大きく重い。EF24-105mm(左)はフォーカスリングが大きく回しやすいので、マクロ撮影の際などは便利だ

 もちろん、F4よりF2.8の方が表現の幅は広く、ファインダーも明るくなる。私は、ボケよりもファインダーの明るさの点でF2.8に魅力を感じることもある。しかし、望遠が105mmまであるのは、海外などの旅先で身軽に動きたいときに重宝する。特に、使っているカメラがフルサイズセンサーのEOS 5Dであれば、これ1本でほとんどの撮影をこなせるのだ。

 「EOS 30D」などのAPS-Cサイズ機と組み合わせれば、望遠側はフルサイズ換算で168mmとなり、立派な望遠ズームレンズとして活躍する。広角側よりも望遠側を多用するユーザーなら、これを常用レンズにしてもいい。私も、EOS 30Dで撮影に出掛けるときは、これと「EF-S 10-22mm F3.5-4.5 USM」の2本を組み合わせている。

 「ボケ味が欲しいから」と24-70mmを選ぶ人も多いようだが、F2.8とF4のボケにそれほど大きな違いはない。F4でも、背景との距離をうまく取ればきれいにボケるし、ふわっとしたボケを求めるのであれば、ズームではなく単焦点レンズを1~2本用意すべきだと思う。私も、ふだんは24-105mmを常用しているが、ボケが欲しいときや、被写体を浮かび上がらせたいときは「EF 50mm F1.4 USM」などの単焦点レンズに交換している。

EOS Kiss Digital Xに装着すると、レンズの大きさがよく分かる。重量・サイズともレンズにボディーが負けているが、左手でレンズを支えるようにして全体をホールドすれば意外と軽快に撮影できる

 キヤノンのLレンズといえば、プロの使用にも耐えうる描写力と耐久性をウリにしている。このレンズも、非球面レンズやスーパーUDレンズを採用し、マウント外周を防滴ゴムリングで覆うなど、レンズ本体は防塵・防滴構造だ。もっとも、キット販売もしているEOS 5Dが防塵・防滴構造ではなく、せっかくの性能をフルに発揮できないのは残念だが…。

 一方、発売当初に回収へ至ったシャワー状のゴーストは、その後の対処でほぼ改良されている。ごくまれに、わずかなゴーストが発生することもあるが、それも他のレンズならばハレーションを起こして満足な像を結ばないような悪条件での話だ。逆光性能はおおむね良好だといえよう。

 シャープネスや色再現も、ズームレンズとしては非常に高いレベルにある。ただし、EOS 5Dなどのフルサイズ機に装着した場合、広角側の24mmでは絞り開放時に周辺光量が激しく低下してしまう。EOS 5Dとキット販売されていることを考えると、少し残念な描写だ。

EOS-1D MarkIIIとの相性もよく、とても立体感のある描写をしてくれる(EOS-1D MarkIII、ISO200、1/60秒、F8、24mm相当) 絞り開放でも描写はシャープ。ボケ味も、ズームレンズとしては優秀な方だと思う(EOS 5D、ISO100、1/60秒、F4、105mm相当)

 また、広角側では糸巻き状の、望遠側ではタル状の湾曲が、どちらもわずかだが認められる。約4.4倍のズーム比を考えれば健闘しているといえるが、建築物をビシッとフレームに収めたいという人には、あまりお薦めはしない。

 もっとも、こうした光量低下や湾曲は、フルサイズ機で使ったときの話。レンズの周辺部を使用しない“非フルサイズ機”(現行機種では、EOS-1D MarkIII、EOS 30D、EOS KissデジタルXなど)ではほとんど関係ない。

 このレンズが24-70mmより有利な点といえば、ISを搭載している=手ぶれに強いことだろう。シャッター速度3段相当の手ぶれを補正するため、絞り1段分のビハインドがあっても、差し引き2段分は有利という計算だ。

IS搭載で手ぶれしにくいので、ピントを深く合わせたいときも思い切って絞り込むことができるのはうれしい(EOS-1D MarkIII、ISO200、1/60秒、F11、55mm相当) これが、本文中でも述べたシャワー状のゴーストだ。参考までにアップしてみたが、めったに現れることはなく、少しアングルを変えれば収まってくれる(EOS-1D MarkIII、ISO100、1/160秒、F13、27mm相当)

 私は、このレンズを使い始めてもうすぐ1年になるが、確かに手ぶれで失敗をした記憶がない。むしろ、夜間や暗い室内で、このレンズだからこそ撮影できたということは多々ある。しっかりとホールディングすることが前提だが、24mmで1/4秒、105mmで1/15秒くらいなら、かなりの確率でぶれずに撮影することができる。

 EOS DIGITALは高感度の描写に優れているので、ISO800~1600前後まで感度を上げれば、夜景も三脚なしで撮ることができる(もちろん、きっちりと撮りたいのであれば、三脚があるに越したことはないが)。

 ただし、ISは被写体ぶれを防ぐことはできない。被写体の動きを止めるのであれば、開放値が1段明るいEF24-70mmの方が有利だ。また、ISをオンにしたときは電池をより早く消耗することも忘れてはならない。私の経験では、EOS 5Dにこのレンズを装着して丸1日フルに撮影すると、バッテリーが2つでも足りなくなりそうなときがある。旅行や結婚式などの大切な撮影では、予備のバッテリーが必須といえる。

 スペックはまさに「実用重視」といった印象で、とりたててインパクトがあるわけではない。しかし、EOS 5Dなどのフルサイズ機で常用するレンズとしては、間違いなく選択肢の一番手に挙げられるだろう。性能的には、高倍率ズームのハンディを背負っている部分も感じられるが、ISの搭載はそれを補って余りあると思う。

実際には逆光に強く、朝焼けや夕焼けもくっきり捕らえることができた(EOS-1D MarkIII、ISO100、1/125秒、F10、55mm相当) 朝霧に包まれた諏訪湖の遠景。繊細な描写はLレンズならではだ(EOS-1D MarkIII、ISO100、1/60秒、F6.3、65mm相当)

■キヤノン「EF24-105mm F4L IS USM」をズバッと評価!
ポイント 評価 コメント
画質 広角側での周辺光量低下は、まるでひと昔前の普及版ズームレンズのよう。発色やシャープネスは良好なだけに、とても残念だ。初期のころに問題視されていた逆光時の描写は対策が講じられており、ほぼ問題ない
サイズ

デザイン
スペックを考えれば妥当な大きさだ。フードはレンズの先端に装着するようになっており、他のLタイプズームと違ってズーミングすると前後に動く。効果が薄れるという人もいるが、フードが小型化されて私はありがたい
コスト
パフォーマンス
EF24-70mm F2.8L USMとの価格差は約5万円。私ならEF24-105mmを買い、浮いた5万円で好きな単焦点レンズを1本買うことを勧める。ただし、レンズ専業メーカーの製品と比べてしまうと、決してお値打ちとはいえない
総合評価 描写にこだわるユーザーには、いまひとつ評判がよくない。その根拠も分からなくはないが、24mmから105mmまでをカバーし、なおかつ手ぶれ補正機構を内蔵しているという実用性は、もう少し評価されていいと思う

(鹿野貴司)

製品名 EF24-105mm F4L IS USM
発売 キヤノン(http://canon.jp/
希望小売価格 15万2250円
実売価格 12万9800円
レンズ構成 13群18枚
最短撮影距離 45cm
フィルター径 77mm
フード 付属(花形)
最大径×全長 83.5×107mm
重量 670g
対応マウント キヤノンEFマウント
発売日 2005年9月28日


これまでに掲載したレンズレビュー一覧

キヤノン
EF16-35mm F2.8L II USM
ニコン
AF-S DX Zoom Nikkor ED 17-55mm F2.8G(IF)

キヤノン
EF70-200mm F4L IS USM
ニコン
AF DX Fisheye Nikkor ED 10.5mmF2.8G

ニコン
AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G(IF)
ペンタックス
DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED[IF]