京セラの「Finecam SL300R」は、ボディの1/3ほどが回転する「イージーフレーミングボディ」という、厚さ15mmの薄型ボディが特徴。秒3.5コマでの高速連写がメモリーカードの容量分行えるなど、撮影機能も充実している。標準価格はオープンプライスで、実売価格は4万4800円

 京セラの「Finecam SL300R」といえば、武士風の外国人女性が写真を撮り合う不思議なテレビCMが印象的だ。そのCMでアピールされている連写性能に加え、100(W)×62.5(H)×15(D)mm、125gというカード型の薄型・軽量ボディが売りとなっている。

●薄型ボディに光学3倍ズームレンズを搭載

 SL300Rの独特なスタイルは、同社が「イージーフレーミングボディ」と名付けているもの。ニコンの「スイバル機構」やソニーの「回転レンズ」と同様に、ボディ部分とレンズ部分が分割して回転する構造になっている。ハイアングルやローアングルでの撮影はもちろん、自分撮りも簡単に行える。ただし、レンズ横にストロボを配置したためか、ボディの回転部に多少の出っ張りがあり、自分撮りをする際にその部分が液晶モニターの一部を覆ってしまうのがやや気になった。とはいえ、同様の問題を解消するために液晶モニターの表示を縮小したニコンの「COOLPIX SQ」ほどではないが。

撮影や再生などの動作モードを切り替えるのが一般的なダイヤルではなく、ボタンになっているのが特徴的だ。薄型化のため、各ボタンはストロークが短めでクリック感に欠けるのが欠点

レンズの回転機構を備えるため、液晶モニターは1.5インチとやや小ぶり。なお、この液晶モニターは透過/反射併用のハイブリッド式だ。現在どのモードなのかは、切り替えボタンの上にLEDで表示される

 ボディがとても薄くできているのも大きな特徴で、厚さはわずか15mm。しかも、凸凹がほとんどないフラットなボディで、ズーム時もレンズが飛び出さない構造だけに、その薄さが数字以上に実感できる。フラットなボディであるためにホールド性に欠け、特に片手持ちでの撮影がやりづらいと感じることもあるが、本体を両手でしっかりと持つことで安定したホールディングが行える。

撮影時の画面はシンプルで、シャッタースピードや絞りなどの情報は表示されないなど、やや物足りない 再生時の画面もオーソドックスだが、このように細かな情報を画像の上に載せて表示することも可能

メニューは複数の画面にわたって項目がスクロールしていくタイプを採用。フォーカスされた部分の色は3種類から選択できる

 ただ、レンズ前面にカバーガラスが装備されているものの、レンズバリアが装備されていないため、使ったり持ち歩いたりしているうちにカバーガラスに指紋が付いてしまうのが気になった。レンズの汚れは画質に直接影響が及ぶだけに、撮影前にはよくチェックしておく必要がある。なお、本体を収納するナイロン製のケースが用意されているので、キズや汚れを防ぐためにもぜひ利用したい。予備のSDカードを入れておけるようになっているなど、純正ケースとしてはなかなかの優れものである。

 操作ボタン類はオーソドックスなまとめ方になっており、カメラメーカーらしさが出ている部分といえるかもしれない。特に、撮影や再生などのモードを選択するボタンと、そのモードを表示するランプが独立している点がユニークだと感じた。ただし、別のデジカメに慣れている人ならば、最初のうちは操作に戸惑うことがあるかもしれない。また、十字キーの真ん中に決定ボタンがあるという、直感的に操作できるボタンレイアウトを採用している点も、ユーザーフレンドリーな設計である。

キヤノンのIXY DIGITAL400(右)と比べると、大きさはSL300Rの方が若干大きいが、薄さは半分ほどで携帯性は圧倒的に上回る。SL300Rは、見た目の高級感がやや欠けるのが残念 記録メディアはSDメモリーカードで、薄型のリチウムイオンバッテリーとともに同じ部分に収納される。ACアダプター端子も用意されるが、本体のみで充電が行える

 やや問題あり、と感じたのがズームボタンだ。ボタン自体は、背面右上のオーソドックスな場所にあり、操作に無理があるわけではないのだが、ひとことでいえば大ざっぱな動作なのが気になった。ほんの少しだけズームさせたいと思っても、ボタンをひと押ししただけでズーム動作が思ったより大きく動いてしまう。このぐらいの画角で撮りたいと思って操作しても、なかなか希望通りの画角で収まってくれないため、歯がゆい思いをしてしまうわけだ。

レンズの回転範囲は意外と大きく、写真の位置まで自由に動かせる。低いアングルからの撮影のほか、高い位置からの撮影もやりやすいのが便利だ

 レンズは35mm判換算で38~115mm相当の光学3倍ズームで、広角側は決して広い方ではない。広角は広ければ広い方がよいと思っている私にとってはちょっと物足りない印象なのだが、多くの人にとっては便利に使えるズームレンジだといえるだろう。有名ブランドレンズの名が冠してあるわけではないが、周辺の像が流れたり極端な色収差が見られることもなく、広角から望遠まで安心して使えるレンズになっているのは評価したい。

●レスポンスは高速だがマクロ機能の弱さは不満

 マクロ撮影機能に関していえば、物足りなさを感じずにはいられない。シーンモードの1つにマクロモードが設定されているが、レンズ前20~60cmの範囲でしかピントを合わせられないのだ。しかも、ワイド端固定という制限付きである。

 近ごろのデジカメは、マクロがどれだけ寄れるかを競いすぎている印象もあるが、レンズ前1cmまで寄れる機種が増えている現在、このスペックではマクロというイメージにはほど遠い感じがするのだ。せめて、多少望遠側でも撮影できるようになっていると、小さい被写体の撮影にも使うことができるのだが…。