三洋電機の「Xacti」(ザクティ)こと、「DSC-J1」は3月中旬発売予定で予想実売価格は4万5000円前後。ボディはマグネシウム合金製だ

 「DSC-J1」は、従来製品から大きく変わった三洋電機の新デジカメ。2.8倍ズームレンズと有効320万画素CCDを搭載し、VGAサイズの動画が撮影できることが大きな特徴だ。しばらくは併売となるのだが、同社「DSC-MZ3」の実質的な後継機種となる。

 従来、三洋電機のデジカメは特別なブランド名を持たず、「動画デジカメ」という愛称をうたっていたが、DSC-J1からこの愛称を一新。「Exact」(緻密、正確)&「Active」(躍動、軽快)を語源とする「Xacti(ザクティ)」というブランドネームでシリーズ展開する。

液晶モニターは1.6型のTFTカラー。晴天屋外の視認性はいまひとつ。ただ、60コマ/秒の表示で追従性が良く、撮影中の表示は動きがとても滑らかだ

 初めて実物を見た印象は、「想像よりも大きい!」。それというのも、MZ3からの技術的な大きな変更点というのが
(1)記録媒体をCFカードからSDメモリーカードへ
(2)有効195万画素で1/1.8型という画素サイズの大きなCCDを、有効320万画素1/2.7型という現行コンパクト機で主流となるサイズにチェンジ
(3)ミノルタDiMAGE Xでも話題になった、光軸を90°曲げてレンズが繰り出さないようにした「プリズム式光学ズームレンズ」を搭載
 …という3つだったからだ。単純に考えればすべてが超小型化を狙った技術に思えるのに、他社のコンパクト機に比べるとどうみても大きい。

 だが、手に取るとサイズの割に軽いことに驚く。マグネシウム合金の外装も手触りが柔らかい表面処理で、金属の冷たさをあまり意識させない仕上げだ。他社のコンパクト機が“精密感・凝縮感”を重視した、小型でもちょっと重めなデザインであるのに対し、カジュアルなイメージをうまく演出している。

焦点距離は35mm判換算で37~104mm。ボディ正面からは「SANYO」のロゴが消えて、「Xacti」のブランドネームのみに 電池は専用リチウムイオン充電池で、DSC-MZ3よりも1.7倍の長持ちだという。記録メディアはSDメモリーカードになった

 実際に使って便利だと感じたのは、動作の快適さ。スピーディーな動作がウリだったMZ3を超えるほどだ。MZ3は電源オフ後レンズが縮むのを待つ必要があった(望遠側にしていると収納に3秒近くかかる)が、J1ではスイッチOFFとほぼ同時にレンズバリアが閉まるので、すぐにしまえる。レンズの伸縮がなく起動も1秒ほどなので、ちょっと取り出して撮影し、またしまうという一連の動作が苦にならないのだ。

 さらにレンズがボディ中央にあるため、両手でしっかりボディを握ってもレンズを指でふさぐこともない。また、縦位置撮影ではレンズよりもストロボが上に来るので影の出かたも自然だ。

●スーパーマクロで2cmの接写!

 「シームレスマクロ」も特筆したい便利機能だ。マクロボタンなどの切り替え操作なしに、レンズ前約20cmから無限遠までズーム全域でピントが合う。さらにメニューで「オートスーパーマクロ」を選択すれば、広角端で約2cmまで近寄って撮影できる。そのうえ、フォーカスポイントを液晶モニターに白い枠で表示してくれるようになったので、背景にピントが合っているのか、手前の被写体に合っているのかがひと目で確認できて安心だ。

 ただし、オートフォーカスによるピント合わせは速いわけではなく、ちょっと暗い場面ではピント合わせ不能に陥ることも多かった。また、レンズを繰り出さない設計なので、被写体に寄りすぎるとカメラの影が被写体にかかってしまうこともあったので要注意だ。

レンズカバーの上で光ってるのが「レインボーイルミネーション」。電源ON/OFF、モード切替時などに7色に光る 静止画、連写、動画の各モード切替時には「おしゃべりナビ」に加えて、モニター上のLEDでも確認できる

 本機ならではのギミックとして搭載されたのが「おしゃべりナビ」。カードの入れ忘れや、現在の撮影モードなどを音声で教えてくれるもの。静止画のつもりで動画を撮ってしまうような間違いが減らせるので、特に年配の方などには喜ばれるだろう。

 だが電源を入れると「静止画モードです」などといきなりしゃべり出すので、人の多い場所では電源を入れるのをためらってしまう。もちろん、メニュー設定でオフにすることもできるが、完全に音声を切ってしまうと今度は少々もの足りない感じになる。

●SDメモリーカードの転送速度に気を付けよう

 画質は現在の300万画素コンパクト機としては標準的なもので、誇張の少ない自然な発色が好印象。だが、画像の輪郭がにじみがちで、ディテール描写がすっきりしない。レンズの内部反射が多いようで、ちょっとした逆光状態では画面全体に白っぽいもやがかかったようになり、シャープさに欠けた画像になることが多かった。

 動画画質は毎秒30コマで640×480の、デジカメとしては最高の画質。同スペックを持つ他社製品よりもノイズや色にじみが少ないため、大型テレビで見てもなかなかきれいだ。512MBのSDカードを使えば、カード容量めいっぱいの5分45秒連続撮影も可能だ。

 ただし、気を付けたいのはSDメモリーカードのデータ転送速度。現行のSDメモリーカードでは、128MB以下の容量のものは2MB/秒と比較的速度が遅いため、連続で20秒ほどしか撮影できないのだ。1本でそれ以上の長さの動画撮影がしたい人は、転送速度10MB/秒(理論値)を実現している256MB以上のSDメモリーカードが必要だ。

電源を兼ねたモードダイヤルを採用。ダイヤルが回りやすく、バッグの中などで勝手に電源がオンになってしまうこともあった 「シーンセレクトショット」には写真のコスメモードのほか、スリムモード(縦長な写真になる)、ランプモードなどもある

 三洋電機のデジカメは従来、デジタル機器に造詣の深い、マニアックなユーザーから絶大な支持を受けて来たが、逆に一般ユーザーには知名度が低いという傾向があった。

 今回のJ1は明らかに女性や初心者を含んだ、一般ユーザーに広くアピールしていこうという製品だ。そのために、今まで好評だったCFカードや大型CCDの搭載をあきらめ、快適な速度できれいな動画とミスの少ない写真が撮れるような設計になっている。

 だが初心者ユーザーも狙うということは、それだけきめ細かな配慮が求められる。アイコン表示やバッテリー、メディアの入れ方がわかりにくいなど、熟練者向けだった昔の名残があるのは気になる点だ。適当なボタン操作をしてしまうと、フルオート撮影に戻すのも時間がかかる。

 DSC-J1はストレスのない動作スピードで、スナップ撮影や動画撮影を楽しみたい初心者に向いた1台といえる。さらに操作面が使いやすくなると、もっと良い製品になるだろう。

(吉村 永)

晴天の神社をフルオート撮影。穏やかな冬の晴天をソフトなタッチで表現。すすけた感じの寂しい色調になりがちな景色だが、目で見た暖かみを再現できた。木の枝部分などはディテールを精密に描くのではなく、ソフトににじませている(1/169.6秒、F7.0、ISO50) フルオート撮影。向こうには陽が差し、こちらは屋根で日が陰っている難しい条件。絶妙なホワイトバランスと露出バランスだ(1/48.9秒、F2.8、ISO90)

陽が傾きつつある風景をフルオート撮影。空の青と東京タワーの赤を自然なコントラストで再現。タワーの鉄骨の輪郭は、ちょっとざらついた感じ(1/111.5秒、F6.8、ISO50) 夜の街を夜景モードで。基本感度はISO50相当なので、手ぶれしないか心配だったが自動的にISO100に設定され、キレイに撮影できた。全体の雰囲気はいいが、ビルの窓など光のにじみが紫色を帯びる(1/2.4秒、F2.9、ISO100)

晴天下でのズーム広角側でのフルオート撮影。特に“マクロ機能”に切り替えることなく、レンズ前約20cmまで近寄って撮影ができる。60cm前後よりも近づく場合には切り替えが必要な機種が多いのだが、これならば初心者でも安心だ。この写真は試作機で撮影(1/59.6秒、F2.9、ISO50) レンズ前約2cmまでの超・近接撮影が可能なスーパーマクロで撮影。メニューを「Expert」に切り替えると、「オートスーパーマクロ」に設定できる。。ピンポイントだけにピントが合い、ほかの部分は柔らかくボケた描写が楽しめる。この写真は試作機で撮影(1/71.8秒、F2.8、ISO50)

640×480・30fpsモードで、フルオート撮影した動画。「Expert」モードに切り替えることで、撮影中に光学ズームも使える(MZ3ではできなかった)。ムービーの視聴にはQuickTimeが必要です。入手先はコチラ 640×480・30fpsモードでフルオート撮影。秒間30コマのフル動画と呼ばれる動画は、さすがにきれいで動きも滑らか。音声もモノラルだが、わりとリアルに録音されていて楽しい。この動画は試作機で撮影

製品名 DSC-J1
発売 三洋電機(http://www.sanyo.co.jp/
実売予想価格 4万5000円前後
有効画素数 320万画素
レンズ 光学2.8倍ズーム(35mm判換算37mm~104mm)、F2.8~F3.9
記録媒体 SDメモリーカード、マルチメディアカード
撮影範囲 20cm(W)/30cm(T)~∞(通常)、2cm(W)/30cm(T)~50cm(マクロ)
PCとの接続 USB
電源 専用リチウムイオン充電池
外形寸法、重量 98(W)×57(H)×31(D)mm、150g(突起部含まず、本体のみ)