キヤノン

EOS-1D MarkIII

実売価格:49万9800円

発売日:2007年5月31日


※この新製品レビューは、試作版のβ機を用いて撮影・評価を行っています。ご了承ください。

このモデルの注目ポイント ライバル機種はズバリこれ!
・フル画素で10コマ/秒の高速連写が可能
・デジタル一眼では最大の3型液晶モニター
・下位モデルで好評の操作デバイスを追加
・ニコン D2XS

 キヤノンの「EOS-1D MarkIII」(以下、MarkIII)は、待望のプロ向けデジタル一眼レフカメラの新製品だ。先代モデル「EOS-1D MarkII」(以下、MarkII)の発売は2004年4月で、マイナーチェンジ機として「EOS-1D MarkII N」(以下、MarkII N)が2005年9月に登場したが、フルチェンジとしては実に約3年ぶりとなる。


下位モデルで好評の操作系を取り入れた

 外観は、これまでのシリーズとあまり変わらない印象だが、操作性を一新したのが最大のポイントだ。フィルム一眼レフカメラ「EOS-1」の登場から19年間、EOS-1シリーズは基本的な操作性を統一してきたが、これがずいぶん特殊なものだった。

縦位置グリップを内蔵した背の高いデザインなど、全体的なシルエットは過去のシリーズを色濃く残している。しかし、ひとまわり大きな3型液晶モニターの搭載に加え、EOS 5Dで好評だったサブコマンドダイヤル中央のSETボタンやマルチコントローラーを追加するなど、操作ボタン類はかなり手が加えられた

 その操作方法は、ほとんどの設定変更でボタンを押しながらコマンドダイヤルを回して選択し、決定はボタンから指を離すというもの。確かに、間違ってボタンを押してしまっても、自分が決めた設定が変わることはないのだが、必ず両手での操作が要求されることや、ほかのEOS DIGITALと併用すると操作を間違いやすい、といった弊害もあった。

EOS-1Dシリーズの特徴ともいえる、ペンタ部からなだらかに流れるデザインは健在だが、ペンタ部の左右に薄いラインが入ったことにより、いくぶんシャープな印象になった。撮像素子はフルサイズではなく、一般的なAPS-Cよりもひとまわり大きなAPS-Hタイプを採用する。そのため、EF-Sタイプのレンズは使用できないので注意

 ところが今回、決定ボタンに当たる「SET」キーを背面の大型サブコマンドダイヤルの中心に新設し、EOS 30DやEOS 5Dなどと同様に操作できるよう改良された。また、従来は少ないボタンで多くの機能を操作できるよう、2つのボタンを押しながらダイヤルを回す「コンビネーションキー」と呼ばれる操作が多かったが、MarkIIIでは露出ブラケット設定以外のコンビネーション操作はなくなった。

 これにより、機能ボタンを押してダイヤルを回すことでほとんどの機能が呼び出せるシンプルな操作になった。特に、ISO感度ボタンがシャッターボタンの近くに新設されたのはうれしい改良で、ファインダーを覗いたままの姿勢を崩すことなく、スピーディーな感度変更が可能になった。

旧モデルの「EOS-1D MarkII」(右)と比べると、前面のデザインはほとんど変わらないことが分かる。背面を見ると、液晶モニターの大きさの違いが目を引くほか、従来は液晶モニターの左にあったボタン類が上下に分散して配置されたのが分かる。また、ペンタプリズムの変更により、これまでのモデルよりペンタ部が若干細長くなっている

 継承性を大事にするプロ向けモデルでは、操作性の変更を好ましくないと感じるユーザーも多い。しかし、MarkIIをずっと愛用している自分でさえも、MarkIIIのシンプルで分かりやすい操作性にすぐに慣れ、MarkIIに戻るのが苦痛に感じられたほどだ。

NEXT 連写性能の高さはもちろん、1枚1枚の撮影も確実に行える