セイコーエプソン

Photo Fine Player
P-5000


実売価格:6万9800円

発売日:2006年10月26日

このモデルの注目ポイント ライバル機種はズバリこれ!
・Adobe RGBの色空間表示に対応
・動画用の色空間「xvYCC」にも対応
・音声や動画の対応フォーマットを追加
・セイコーエプソン P-2500

 ちょっとした旅行や、大量の撮影をしたい日などに役に立つのが、ハードディスク内蔵のポータブルフォトストレージだ。メモリーカードの内容をハードディスクにコピーし、外出先などパソコンがない状況でもデータのバックアップが行えるのが魅力だ。

 このジャンルでは、ただ単にハードディスクへのバックアップを行うだけのシンプルな製品が多いなか、大型の液晶モニターに撮影した画像を表示して確認できるコンセプトで人気なのが、セイコーエプソンの「Photo Fine Player」シリーズだ。今回は、その最新機種となる「P-5000」を紹介しよう。


デザインの改良により実用性が向上した

 このシリーズは、2003年4月に登場した初代モデル「P-1000」から始まり、2004年10月発売の「P-2000」で美しい表示のPhoto Fine液晶を搭載して大ヒットとなった。続く「P-4000」と「P-4500」でマイナーチェンジを行い、今回のP-5000で液晶を4型のPhoto Fine Ultra液晶に進化させ、デザインを含めてのフルモデルチェンジを行った。なお、P-4000までの流れは、従来と同じボディーを採用したローエンドモデル「P-2500」(内蔵ハードディスクは40GB)として、P-5000と同時発売となっている。

従来モデル「P-4500」からデザインを一新したうえで、液晶パネルや機能を充実させた「P-5000」。何より、美しい表示の4型Photo Fine Ultra液晶が目を引く。本体の前面は左右が少し盛り上がった形状になっており、持ちやすさに貢献している。ボタン類は確かなクリック感があるうえ、操作にもたつきは感じられない

 今回のモデルチェンジの最大の目玉が、このPhoto Fine Ultra液晶だ。解像度こそ、従来機と同じ640×480ドットのVGA表示だが、通常の液晶ではR(赤)、G(緑)、B(青)の3色フィルターなのに対し、P-5000ではGのフィルターをYG(黄緑)、EG(エメラルドグリーン)の2つとし、全4色のフィルターを採用することによって色再現領域を広め、Adobe RGBの色空間の表示に対応したのだ。

 先日、サムスンや日立製作所から比較的安価なAdobe RGB対応液晶ディスプレイが発表されたものの、この色空間を表現できるディスプレイはまだまだ希少。一般的なコンパクトデジタルカメラでの撮影はsRGBの色空間がほとんどだが、デジタル一眼レフは大半がAdobe RGBの色空間にも対応している。商用印刷原稿として撮影をする場合や、高画質のインクジェットプリンターで最高の色再現性を追求したい人にとっては、ロケ先でもAdobe RGBでの確認ができる強い味方となるだろう。

P-5000の大きさを文庫本と比べると、幅がほとんど同じで、高さが1.5cmほど小さいぐらい。一般的なコンパクトデジカメや携帯動画プレーヤーと比べればさすがに大きく重たいが、ふだん持ち歩くのもそれほど苦ではないだろう

 実際に手にすると、これまでの機種と比べてグッと堅牢になったボディーに好感を覚えた。この手のストレージのおもな活躍場所はロケ先や屋外になるのだが、従来のP-4500までのモデルはボディーがどことなく華奢で、ソフトタイプのカメラバッグのポケットに入れるのがためらわれた。

 ところが、P-5000は液晶の左右部分がグッと前面に張り出したデザインになり、手で握ってもがっちりとした印象を受ける。しかも、これまでは液晶モニターの表面とボディーの左右両サイドが面一に近いデザインだったため、液晶面を下にして置くと画面に傷が付いてしまうのではないか…と心配したのだが、液晶面の左右が張り出しているP-5000では、その心配も少なくなった。


液晶の表示は美しいが、やや鮮やかめの表示になる

 期待の液晶モニターだが、色の鮮やかさには驚くばかり。特に、緑色の鮮やかさと階調のなめらかさは特筆できる。森林の写真などを表示した場合は、新緑と常緑樹の緑色がきっちりと描き分けられるし、一般的な液晶モニターでは再現が難しい影の部分の階調も美しく表示される。これまでのPhoto Fine液晶を採用したP-4500と見比べてみたが、明らかにP-5000の階調再現が優れていることが感じ取れた。

 VGAという解像度は、一見すると大したことがないように思えるのだが、4型のサイズでは十分に精細だ。表示のきめ細かさと階調再現の美しさから、写真を表示すると小さな画面の奥にミニチュアの世界が広がっているかのような錯覚を覚えてしまうほど。古くから写真経験のある人ならば、ポジフィルムをビューワーの上で見ている感覚に近い、といえば想像しやすいだろうか。

パッケージには、専用のソフトケースが付属する。液晶パネルの部分に透明な窓が付いているわけではなく、あくまでも本体の保護を目的としたものだが、仕上がりは悪くない カードスロットはSDメモリーカードとコンパクトフラッシュTypeIIの2つで、xDピクチャーカードやメモリースティックはコンパクトフラッシュ型アダプターが必要。SDスロットはSDHCにも対応

 ただし、実際の写真よりも色が鮮やかに見えすぎると感じることが多かったのも事実。同じ写真データでも、キャリブレーションを取ったパソコンのディスプレイで見たり、インクジェットプリンターでプリントした場合、どうしてもイメージに大きなギャップを感じることが多かった。あくまでもロケ先でのイメージ確認用という機器本来の性格を考えれば問題は少ないのだが、ここまで高性能なことを考えると、もうちょっと落ち着いた発色をするモードを設け、簡単に切り替えられるような工夫を期待したい。

 表示の美しさだけでなく、全体的に動作レスポンスが速い点も好ましい。これまでのシリーズでは、電源スイッチをオンにしてから使えるようになるまで9秒ほどの待ち時間が必要だったが、P-5000ではこれが3秒ほどに短縮された。

本体側面には、パソコン接続用のミニUSB端子に加え、外付けハードディスクやデジカメなどのUSB機器を接続するためのUSBホスト端子を搭載。保存したデータのバックアップが行える バッテリーはリチウムイオン充電池で、P-4000やP-2000で使われているものと同じタイプを採用する。そのため、旧機種でバッテリーを買い増しした人は、P-5000にそのまま流用できる

 バックアップに要する時間を調べるため、サンディスク製の高速SDメモリーカード「Sandisk Extreme III(公称転送速度は20MB/秒、2GB)」の容量いっぱいに、800万画素のJPEG画像653枚を撮影したものを読み込ませて試してみた。すると、P-5000では5分13秒、P-4500では5分20秒と、ほぼ同等の速度だった。だが、さらに旧型のP-2000での実験では11分15秒だったので、この世代から比べれば2倍以上も速くなっている。素速く次の撮影に備えられるばかりでなく、1回のバッテリー充電でより多くのメディアのバックアップが取れるメリットにもつながるのは見逃せない。

 使い勝手もしっかり改良が加えられているが、特に感心したのはサムネイル表示だ。読み込ませたカード単位、または日付単位で写真データがフォルダ分けされるのだが、そのフォルダを選択するだけで、そのフォルダに保存されている画像のサムネイルが背後にオーバーレイ表示されるのだ。これまでは、どのフォルダにどんな写真が収録されているのかが分かりにくかったのだが、これならばいちいちフォルダを開いて中身を確認しなくても大まかな保存内容があらかじめ分かるのだ。

フォルダにフォーカスを合わせるだけで、そのフォルダに保存されている画像のサムネイルが背景にびっしりと表示され、フォルダ内にどんな画像が記録されているのかを手軽に確認できるよう工夫している

NEXT USBホスト機能により、外付けHDDなどを接続できる!