イングランドで開催中のラグビー・ワールドカップ(W杯)で、日本は第1戦で強豪・南アフリカを破る大金星を挙げ、実に24年ぶりのW杯での勝利を得た。続く第2戦ではスコットランドに敗北したものの、このチームが掲げてきた「ベスト8進出」という目標まで残すところあと2試合。日本中の熱い期待が注がれている。

 今回はこの日本代表の顔ともいうべきキッカーでありフルバック(FB)の五郎丸歩選手をクローズアップ。『日経トレンディ6月号 pLus(プリュ)夏号』に掲載されたインタビューに加筆・再編集する。インタビューは今年5月頭に日本代表の合宿先・宮崎で行った。

五郎丸歩(ごろうまる・あゆむ)

プロフィール 1986年福岡県生まれ。3歳からラグビーを始め、佐賀工高を経て早大に進学。大学2年で日本代表デビュー。08年からヤマハ発動機ジュビロ所属。12年・13年度トップリーグ得点王。12年より日本代表副将に就く
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世界の舞台で結果を出し、注目度を高めたい

 インタビュー当日、日本代表は秩父宮での代表戦を終え、前日に宮崎に戻ってきたばかりだった。グラウンドでは選手の練習をさまざまな角度から分析するためのクローンが宙を飛んでいた。生卵が大量に運ばれてきて、その卵を使ってパスの練習が始まった。ボールを軽く扱う練習だという。意外になごやかだな──そう感じたことをストレートに五郎丸選手に告げると、「いやいや、明日からは本格的に厳しいトレーニングに戻ります。でも、明るいチームですよ」と返ってきた。

宮崎での日本代表強化合宿は、4月頭から約140日間行われた
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 今春、日本代表の一行は、第1戦の会場・ブライトンに視察に行った。その時の印象を五郎丸選手はこう語る。「規模・雰囲気ともに国内にはないスタジアムでした。そこに立って国歌を歌う自分を想像すると、正直、こみ上げてくるものがありましたね」。国を代表する心境は、なかなか一般人には想像しがたい。「あまり重く捉えすぎることもよくないと思いますが、国旗を背負って戦う幸せというのは得がたい経験だと感じています」

 実際のところ、大金星のニュースでラグビーのワールドカップが開催中であることを知った人も少なくないだろう。選手たちも、近年のラグビー人気の低迷を大きく自覚している。「実際に僕らが世界の舞台で結果を出すことによって、日本国内だけでなく、海外からの注目度も上がるでしょう。エディーさん(ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ)も常々『世界のラグビーファンを驚かそう』と言っています。それができるだけの選手が今の日本代表に揃っていますし、楽しみです。歴代ナンバーワンチームなのは間違いありません」。その五郎丸選手の言葉どおり、日本代表の大金星は世界を揺るがせ、賞賛を浴び、日本中がその勝利に大いに沸き立ったのは、ご存じのとおりだ。

高校1年からフルバック。当時の監督に直訴してこのポジションに付いた
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