現在、4K解像度(3840×2160ドット)へとシフトの進む薄型テレビ。だが、早くも次世代の高画質技術「HDR」が登場した。今の4Kテレビすら時代遅れのものになるかもしれない--。

 ドイツ・ベルリンで9月初旬に開催された、世界最大の家電ショーIFA 2015。そこで出展された最新鋭の薄型テレビでは「HDR」が急浮上している。

 HDRとは「High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)」の頭文字を取った、映像に記録できる明るさ情報(輝度)のレンジを拡大する技術。映像の美しさを決める要素としてフルHD(1920×1080ドット)や4Kといった「解像度」、あるいは自然界の色再現を目指した「色域」は以前から徐々に性能アップを続けていたが、明るさ情報に手を入れるのは初めてのことだ。デジカメやスマホカメラの撮影技術「HDR」と似た考え方だが、映像に実際に記録する輝度の幅も、薄型テレビに表示する最大輝度も両方拡大するのが異なるポイントだ。

IFA 2015の会場ではソニーの平井CEO自らHDRの高画質を語っていた
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ソニーがIFA 2015で披露したHDR対応の『アメイジング・スパイダーマン』
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現実世界さながらの光を視聴者に届ける

 明るさ(輝度)のレンジを拡大するとはどういうことなのか。

 例えば、私たちの暮らす現実世界では、太陽光や屋外の直射日光、ネオンを見るとまぶしさを体験することがあるだろう。そのまぶしいほどの光を記録するために必要なのが輝度レンジだ。

 HDR技術では、光を記録する範囲を現在の100nit(nitは明るさの度合いを示す単位)から最大で10000nitまでと、一気に約100倍も拡大。そして表示するテレビもHDRに対応することによって、現実さながらの光の世界をテレビの前の視聴者に届けようとしているのだ。

 テレビから放たれる光が太陽のようなまぶしさをもたらし始めたら、単に情報量を増やす技術だった4Kを超えるインパクトにつながる。実際にIFA 2015の会場で観たリオのカーニバルを撮影したHDR映像は、今までテレビの向こうにあると思えた映像が「身に迫る体験」と感じさせるほどリアルに映った。

HDRでまぶしいほどの光をディスプレーで再現する
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