ドラマを毎回欠かさず見る視聴者は「5%」程度、テレビCMを補うためにネット動画広告が使われる、米国人に比べてテレビ番組を探すのが苦手な日本人――。今どきの「テレビとネットとの特性の違い」と、「テレビにしかない強み」を解説する。

 7月10日にエム・データの主催によるカンファレンスイベント「新世紀テレビ大学」が開催された。「若者のテレビ離れが叫ばれて久しい今、テレビの視聴シーンはどうなっているのか」「実際にテレビがどのように見られているのか」そして「テレビとネットをいかに有効に使い分けていくか」をテーマにした包括的なセミナーだ。

 主催したエム・データは、東芝の薄型テレビREGZAやソニーのBDレコーダーで利用できる番組シーン情報を提供し、「テレビメタデータ」によるテレビ視聴スタイルのシステムを提供する会社だ。

7月10日に開催された株式会社エム・データの主催のセミナー「新世紀テレビ大学」
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エム・データ社によるテレビメタデータサービス
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 4時間半にも及ぶ長いセミナーとなったが、その中で浮き彫りになったのは「テレビとネットとの特性の違い」と、「テレビにしかない強みが今でもあること」だ。多岐にわたる内容のなから、筆者が気になったポイントを紹介しよう。

今でも強力なプッシュができるのはテレビのみ

 世間では「若者のテレビ離れ」という言葉が既に常套句のように語られている。だが、どれだけ宣伝効果があるのか効果測定をする広告の世界では、「今でも強力なプッシュをできるのはテレビのみ」(エム・データ取締役、ストラテジックプランニングディレクターの薄井司氏)というのが実情だ。視聴率が以前より落ちていても1000万人単位の視聴者のいるテレビに対して、ネット広告の世界は数千から数万の規模。多くの人に認知を広げる効果として、テレビの効果はいまだケタ違いに大きい。

 ただし、近年広告主からも指摘されているのは「認知を広げる力はともかく、効果を持続させる力が落ちている」ということ。テレビ広告の効果が下がるのは昔より早くなっているという。

 そこで広告手法で広がっているのが「テレビで認知させて、それをネット検索に結びつけ、SNSでシェアさせ、売り上げへとつなげていく」という、テレビとネットをうまくつなげていく流れだ。

 セミナーでは、エム・データがこの秋に提供を開始する「TV Rank」が紹介された。「パンケーキ」をテーマにしたグルメ番組での登場数とネット検索数の連動や、緑茶飲料の「伊右衛門」のテレビCMから実際への売り上げへの流れの分析が披露され、その連動性のデータ解説が行われていた。

「パンケーキ」のテレビ番組での登場数とネット検索数の関連グラフ
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テレビCMから検索、売り上げとの相関グラフ
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テレビCMの視聴率が悪ければネットで動画を流す

 一方、現状のテレビの問題は「テレビCMで認知を広げようとしても高齢者が主になる」(広告コンサルティング会社、デジタルインテリジェンス代表取締役の横山隆治氏)など、テレビ全体としては視聴者層が偏ってきていることだ。

 そこで若年層にアプローチでき、テレビと補完関係のあるツールとして使われ始めているのが、ネットでの動画広告だ。バナー広告の場合は数十回の表示でようやくユーザーに認知されるのに対して、動画広告の場合は3回で商品やサービスの認知を得られるのが強みだ。

 米国では、テレビ局がCMスポンサーに視聴率を保証する際に、視聴率が目標値を下回った場合にはネットで動画広告を流して補完するサービスが提供されるようになっている。ネットの動画広告とテレビ放送とが同じように扱われているのだ。

テレビCMによる認知からネット、購入をつなげるマーケティング手法
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