音楽関連会社が360度ビジネスへのシフトを加速している。レコード会社の「ワーナーミュージック・ジャパン」は、マネジメント業務を核とする新会社を設立した。音楽出版社のフジパシフィックミュージックも、昨年からアーティストのマネジメントを開始。今年は、さらに拡大していく予定だという。

 CDなど音楽ソフトの売り上げはピーク時の半分近くまで落ち込むなか、1人のアーティスト、そしてアーティストが作り出す音楽を軸に、ライブ、グッズ販売など新たな収入の基盤を確保することが急務となっている。

 各社の狙いを、取り巻く音楽業界の状況とともに探った。

ライブ売り上げが、音楽ソフトを超えた!

『「ワーナーミュージック・ジャパン」がマネージメント事業をスタートさせます!』
『アーティストのみならず、モデルやタレントをはじめ、さまざまなジャンルの才能を発掘していきます!!』

 今年3月1日、ワーナーミュージック・ジャパンが新会社「ワーナーミュージックエージェンシー」を設立。同時に、いつでも応募可能なオーディションもスタートさせた。

ワーナーミュージックエージェンシーのホームページでは、常時、オーディションを受け付ける
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 従来、レコード会社はアーティストと契約してCDやDVDの商品化を企画し、レコーディングの費用を持って音源を制作。完成した作品はメディアを通じて宣伝し、CD店などを通じて販売することで利益を得てきた。

 しかし、CDをはじめとする音楽ソフトの売り上げは長らく減少している。4月28日、日本レコード協会が発表した「日本のレコード産業2015」によると、14年の音楽ソフト(オーディオレコード+音楽ビデオ)の総生産額は、前年比94%の2542億円。これは、ピークだった90年代後半と比べて、半分以下の数字だ。

 一方、急成長しているのはライブだ。14年1月1日から12月31日に開催されたライブイベントの総売上は、前年比118.6%の約2749億円(コンサートプロモーターズ協会調べ)。なんと、音楽ソフトを上回るまでになった。ちなみに10年前、04年のライブ市場の総売上額は約901億円であり、3倍になった計算。いかにライブ市場が伸びているかが分かるだろう。

◆音楽ソフトの金額の推移◆
(日本レコード協会「日本のレコード産業2015」より)
◆ライブ市場の年間売上額の推移◆

(コンサートプロモーターズ協会「基礎調査報告書」、「基礎調査推移表」より) ※データはACPC正会員社を対象とした調査結果(日本全体のライブ・エンタテインメントの市場規模とは異なる)

 ライブで利益を得るのは、アーティストのマネジメント会社だ。まず、ライブを主催することでチケット収入が入る。人気アーティストの場合、ファンクラブに入会するとコンサート・ライブの先行チケットの販売に申し込めることが多い。そこで、ファンクラブの会費を得られる。さらにライブツアーではグッズが制作・販売される。アーティストを抱える事務所は、ライブを通じてさまざまな利益を得られるのだ。