ロボット掃除機に求められる機能とは?

 人間が掃除機を使って掃除をする場合、まず掃除機をゴミが落ちているところまで持っていかなければならない。場合によっては家具を動かしたり、ラグをどけるといった必要も生じる。しかしロボット掃除機はそのような複雑な作業をすることは不可能だ。そのため、重要なことは「コンパクトにすること」と「部屋全体をカバーできること」が重要だとアングル氏は語る。

 「どんなに強力な吸引力があっても、ゴミがある場所まで行かなければ何の意味もない。ロボット掃除機は人のように家具を動かせないので、家具を動かさなくても入り込める大きさにすることがデザイン上の重要な検討事項だった。もう一つ、部屋全体をくまなくカバーできることも必要だ。ルンバは地雷除去ロボットに使っているアルゴリズムを採用している。地雷除去の際には、地形について変数要素、推測要素を取り込めない。どんな地形でも、どんな石があっても、きちんと仕事をしなければならない。それと同じアルゴリズムで、部屋がどのような形でも、家具がどこにあっても部屋全体をカバーできるようにしている」(アングル氏)

 さらに、ラグのふさなどに絡まらないようにする「Anti-Tassel」技術が重要だという。

 「ロボット掃除機はカーペットやラグに絡まらないことも重要だ。人ならラグをよけたりどかしたりできるが、ロボットはできない。だからこそ、ラグに絡まってしまうことを回避するインテリジェンスが求められる。ラグをきちんと乗り越えられるようにするだけでなく、絡まったときにはそれを検知して逆回転することで自動的にほどくというものだ。これもルンバならではの機能となっている」(アングル氏)

ラグの房などにブラシが絡まった場合に、逆回転することでほどく「Anti-Tassel技術」の図解(アイロボットのウェブサイトより)
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 人が掃除する場合、フロアにあるゴミの状況を目視で確認しながら進めていく。フローリングなら1回でスムーズにゴミやホコリを吸いきれることも多いが、じゅうたんなどの場合、一度できれいに取れることは決して多くない。ゴミが取れたかどうかを目で確認しながら、何度も往復するのが一般的だろう。

 「ルンバはコードをつないだままのキャニスター型掃除機のようなパワーを出すことはできない。そういった吸引力の強い掃除機ですら吸い取れないゴミは、ロボット掃除機でも一度で吸い取ることはできないだろう。そのため、ロボット掃除機にはフロアのゴミの状況を検知する能力が求められる」(アングル氏)

 ルンバシリーズは「人の動き」にフォーカスしており、どうしたら人の動作をロボットに置き換えられるかについて考えていることがロボットメーカーの強みだという。

 「だからこそアイロボットはこれまでに1200万台ものロボットを販売することができた。ロボット掃除機市場全体の約75%をロボットメーカーが占めているのも、そういう理由にある。私自身、ロボット開発を手がけて24年になるが、ロボット掃除機が業界を変えてきたのを目の当たりにしてきたのはエキサイティングだった。ルンバ800シリーズの発売とともに、昔ながらのキャニスター型やアップライト型の掃除機は恐らく終焉を迎える時期に来た」(アングル氏)

 実際、ここ数年でロボット掃除機が掃除機市場全体に占める割合が急激に増すと同時に、スティックタイプやハンディータイプのコードレス掃除機も増加している。「2台持ち」「3台持ち」も増えているようだが、コードを取り回しながらキャニスター型掃除機で掃除をするのが常識だった時代は、もう終わろうとしているのかもしれない。