「11ac」と「11n」の速度はどれだけ違う?

 無線LANルーターを購入する前に、無線LANの規格を知っておこう。現在主流の無線LANの規格は、IEEE802.11acと IEEE802.11nの2種類だ。

 11acの規格では、アンテナ1本あたり最大約867Mbpsでの通信を可能としており、最大8本のアンテナを束ねることで最大約6.93Gbpsで通信できる。ただし、11acの最大速度である約6.93Gbpsで通信できる無線LAN機器は、現在家庭向けの製品としては売られていない。また現在売られている11ac対応ルーターの多くは「電波が通れる道幅」に値する周波数帯域が規格(160MHz)の半分の80MHzとなり、アンテナ1本あたりの最高速度も規格の半分である約433Mbpsのみ。また、アンテナを8本も搭載するパソコンや無線LANルーターは無く、2〜3本を搭載するのが一般的だ。そのため、ほとんどの製品が最大速度を約867Mbpsや約1300Mbpsとしている。またスマートフォンやタブレットなどは、11ac対応アンテナを1本のみ搭載している機器も多く、それらの最高速度は約433Mbpsとなる。

 一方、11nは、11acの前に主流だった規格だ。一般向けとして売られている11nの機器は、アンテナ1本あたりの通信速度は11acより遅く約150Mbpsとなる。11nも、11acと同様にアンテナを4本まで束ねることができ、最大約600Mbpsで通信できるが、こちらも600Mbpsで通信できる製品は無いに等しい。無線LANルーターやパソコンではアンテナを2〜3本、スマートフォンやタブレットはアンテナを1〜2本を搭載しており、最大速度が約300Mbpsや約450Mbpsの製品が多い。

 11acと11nは規格が異なるが、互換性があって通信は可能。11acの無線LANルーターに11n対応の端末を接続できる。逆に、11nの無線LANルーターに11acの機器を接続することもできる。ただし、どちらの場合でも接続が11nとなり、11ac機器は性能を十分に発揮できない。

 なお、11acの低価格無線LANルーターでは、11acでは最大433Mbpsで通信できるものの、11nでつなぐ場合はアンテナ1本分の150Mbpsしかないものもある。こうした機器は11ac対応のスマートフォンやタブレットを中心に接続するには向いているが、11nのパソコンをつなげるなら不向きだ。

高いルーターと安いルーターは何が違う?

 無線LANルーターの低価格帯製品と1万円以上のハイエンド製品の違いは、性能や装備、付加機能の有無だ。一般的にハイエンド製品のほうが性能は高く、装備は良い。また付加機能が多い。

 2000〜5000円台の低価格帯で売られている無線LANルーターは、ハイエンド製品よりも、搭載しているCPUの性能が低く、処理速度が遅いことが多い。処理速度が遅いと、パケットフィルターやポートマッピングといった機能を利用したときに、スループット(ルーターを通過する時の速度)が低下したり、複数の無線LAN機器を同時に接続したとき、著しく速度が低下したりするといったことがあり得る。

 低価格帯の無線LANルーターは、同時接続できるセッション数も少ないことが多い。P2Pで大量のセッションを同時通信するようなゲームやファイル交換ソフトなどで、ルーターの能力を超えるセッション数で通信してしまうと、ルーターがハングアップするといった不具合もある。逆に言えば、無線LANに1〜2台しか接続せず、極端な使い方をしなければ低価格帯のルーターでも問題ないだろう。

 低価格帯製品は、付加機能も少ない。必要最低限の機能はあるものの、無線LANルーターのUSB端子にUSBストレージを取り付けネットワークに共有できる簡易NAS機能や、DLNAを使い家電とマルチメディアファイルを共有できるメディアサーバー、プリンターをネットワークで共有できるプリンターサーバー、通信の内容によって優先順位を付けられるQoS、外出先から家庭内ネットワークに接続できるVPN、スマートフォンから無線LANルーターの設定を変更できるアプリの提供といった付加機能は省かれることが多い。

 これらの付加機能を使うのであれば、機能の有無を確認してから購入したほうが良いだろう。もし付加機能が必要であれば、ハイエンド製品のほうが適している。

 安い無線LANルーターで有線LANを使うときも要注意だ。格安無線LANルーターの一部の製品は、有線LAN端子が100BASE-TXとなる。最近の多くのパソコンやハイエンド無線LANルーターが採用するGigabit Ethernetの最大速度は1000Mbpsと速いのに対し、100BASE-TXの最大速度は100Mbpsでかなり遅い。有線LANでのファイル転送に時間がかかり、高速光回線などのインターネット接続サービスの速度を生かせない。無線LANと有線LANの間で通信するときも、有線LANの遅さに足を引っぱられ高速無線LANを十分生かせない。

「WHR-1166DHP」(バッファロー)の製品紹介ページ。Gigabit Ethernetに対応しているものの、「WAN側のみ」という記載がある
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