台東区の浅草通りから言問通りまで南北に伸びる合羽橋道具街。ここは、食器から調理器具、食品サンプルなど料理にまつわるさまざまなものを扱うプロ仕様の道具専門の問屋街だ。今回話を聞いたのは、1912年(大正元年)創業、8000アイテムもの調理道具を扱う「飯田屋」の6代目、飯田結太氏。独身時代1人暮らしをしていたにもかかわらず、フライパンを40枚も持ち、料理によって使い分けていたという強者だ。世界的に有名なメーカーのものから、テレビ通販で販売されているものまで、新製品が出ると徹底的に使ってみるという飯田氏に、“絶対に後悔しないフライパンベスト7”を選んでもらった。

そもそもフライパンってどんなもの?

 フライパンは、料理に欠かせない重要なアイテムだと僕は思います。プロの料理人は“フライパンは育てるもの”として吟味して選ぶんです。現在、飯田屋で扱っているフライパンは300種類以上あります。どれでも同じでは?と思う人も多いと思いますが、プロから見れば、ひとつひとつまるで違うものなんです。

 最初にフライパンについて説明します。

フライパンの素材:アルミニウム、鉄、ステンレス、セラミック、チタン、銅
コーティング:フッ素加工

8000アイテムもの調理道具を扱う専門店「飯田屋」の6代目、飯田結太氏

 この中でプロが使うのは圧倒的に鉄製。ただ、洋食の料理人はアルミニウムのものをよく使います。フッ素加工はアルミニウムの素材に施されます。

 フッ素加工のフライパンは、こびりつかないことから一般の人に使いやすいと大変人気がありますが、じつは、どんなに高級なものを購入しても、数年でフッ素加工がはがれてしまいます。平均で1~2年の耐久年数しかありません。

 それに対して、フッ素加工されていないフライパンは、きちんと手入れをすれば10~30年もつのが普通です。

 しかし、どちらにもメリット、デメリットがあります。


鉄製などフッ素加工されていないもの

メリット:頑丈で保温性、蓄熱性が抜群に高い
デメリット:錆びやすかったり、こげつきやすかったりするので使用後には必ず油を薄く塗るなどのひと手間が必要。きちんと手入れをしていけば10年以上、最近は50~60年の耐久年数をうたうものもある

フッ素加工のもの

メリット:食材がこびりつきにくく、手入れが簡単
デメリット:フッ素加工がはがれやすく、耐久年数が1~2年

 これから料理を始める人はフッ素加工のものを選ぶことが多いと思います。何といってもラクだから。でも、使い方ひとつですぐにダメになってしまうものなんです。

 まず、フッ素加工のフライパンの耐熱温度は、約250~270度。ところが、アルミニウムのフライパンを一般的なコンロで空焚きすると、1分間で300度近くまで簡単に上がります。耐熱温度を気にしないで使うとフッ素加工のものはすぐにダメになってしまうのです。長く使いたいのであれば、強火は厳禁。中火以下で調理するようにしましょう。

 フッ素加工は、膜厚が厚いほど、またコーティング(フッ素加工)が硬いほど傷つきにくく、はがれにくいものです。ただし、これはプロでもひと目では分からない。そこで目安とするのが、グレード表示です。

 米国デュポン社が開発したテフロン加工は、「クラシック」から「プラチナプラス」までの6つのコーティングの種類と星の数でグレードが示されています。クラシックの星1つが耐久性指数100に対して、プラチナの星5つは600、プラチナプラスの星6つは700となります。デュポン社のテフロン加工の場合、最高の星6つで、星1つの7倍強くなっているということになるのです。