セダンスタイルの新型燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」が、2014年12月15日にトヨタ自動車から販売開始される。トヨタが20年以上開発してきたFC(燃料電池)システムを搭載するモデルで、価格は723万6000円。最大202万円の補助金と、自動車税や自動車取得税、自動車税の減税で、最大約225万円引きとなる。すでに200台を受注済みで、その多くが企業や官公庁などの法人ユーザーながら、個人からの発注もあるという。

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電気自動車だけど大容量バッテリーは不要

トヨタの燃料電池車「ミライ」。実用的なセダン構造だがエッジの効いたモダンなスタイルを目指した
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 トヨタが開発してきた燃料電池車は、水素を使って走るクルマで、“電池”の文字が示すように、基本は電気自動車だ。

 現在の一般的な電気自動車と異なるのは、水素と大気中の酸素を化学反応させて、クルマ自身で発電しながら走行できること。既存の電気自動車 のような、駆 動用の大きなバッテリーが不要で、走行可能な距離も飛躍的に伸びるのがポイントだ。ミライの場合、水素を100%充填するとJC08モードで 約650km 走れるという。また水素の充填にかかる時間は1回約3分と、ガソリン自動車並み(電気自動車はチャデモ〈CAdeMO〉の急速充 電を使用した場合でも、 80%の充電まで30分かかる。また家庭での200Vでは短時間での充電はできない)。

723万6000円からで、これに減税や補助金が適用される。それでもクルマとしては高価だが、燃料電池車としてはまずまずの価格だろう
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左リアタイヤ上部に設置された水素充填口。高圧水素タンク2本は後部座席下に収まっている
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 これらを実現したのが、発電を行うFCスタックや駆動モーター、高圧水素タンク、コンパクトな駆動バッテリー、制御などのシステムを含む、「トヨタフューエルセルシステム(TFCS)」だ。なかでも機能のキーとなるFCスタック、高圧水素タンク、FC昇圧コンバーターは、トヨタの内製で、開発には同社のハイブリッドシステムの技術が活用されており、低コスト化にもつながった。

 FCスタックは、コンパクトながら114kW(155ps)の最高出力を発揮する発電ユニットで、モーターの最高出力は113kW(154ps)、最大トルクは335Nと、性能は必要十分。トルクが大きく、加速時や上り坂で力を発揮するという。

 既存の電気自動車のようにバッテリーに大きなスペースを取られない。また従来のエコカーでは後回しになりがちだった走りにもこだわっているという。

 さらにミライは電源車としても使える。発電した電気を別売りの給電器で変圧すると、非常時には9kWもの電力を家庭用電源として使える。このあたりを考えると、723.6万円は案外手ごろかもしれない。

「ミライ」のシャシー。フロントにモーターを搭載し、前輪を駆動する。車両中央には、発電を行うFCスタック。燃料を収めた高圧水素タンクは後部座席下と背面。バッテリーユニットも後部座席背面とトランクの間に収まっている
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フロントセクション。前輪とほぼ同軸上に駆動ユニットが収まっており、先端部に重量物が少ない前輪駆動レイアウト構造となっていることが分かる
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水素と大気中の酸素により発電するFCスタック。非常にコンパクトながら、155psを発生する
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外部に電力を供給する場合に接続するチャデモ(CHAdeMO)端子。別売りの給電器を接続すれば、変圧して電力が取り出せる。車両には100Vのコンセントも付属する
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「ミライ」から電気を取り出し、使用した例。約60kWhの大容量で最大9kWの電力供給能力を持つ。停電時などに心強いアイテムとなりそうだ
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