「IEEE802.11ac(11ac)」に対応した最新の無線LAN(Wi-Fi)ルーターに買い替えると、iPhone 6などのスマホとは最大433Mbps、パソコンとは最大867Mbps〜1300Mbpsで高速通信できる。そこで11ac対応ルーターの選び方や注意点、おすすめ機種を解説しよう。

いま無線LANルーターを買うなら、11ac対応のものを選びたい
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 今、家庭やオフィスに無線LAN(Wi-Fi)を導入するなら、最新規格「IEEE802.11ac」(以下、11ac)に対応した無線LANルーターの導入を強く勧めたい。11acは、従来の無線LAN規格よりもかなり高速で、有線LANとほとんど変わらないスピードで通信できる。また最新のスマートフォンは11acに対応している機種が多い。

 しかし、いざ無線LANルーターを導入しようとしてお店の売り場に行くと、製品が多くどれを買って良いのかが分かりづらい。そこで本記事では、11ac規格の仕組みや対応ルーターを選ぶポイント、注意点、おすすめの製品について解説する。

スマホとは最高433Mbps、パソコンとは最高1300Mbpsで通信可能

 無線LANはパソコンはもちろんのこと、スマートフォンやタブレット、ゲーム機や家電などでも当たり前のように使われている。最近は、無線LANの相互接続を検証する団体「Wi-Fi Alliance」の名称から、無線LANを「Wi-Fi」などと呼ぶこともある。

 2014年1月に策定された802.11acは、現時点での最新規格だ。規格では「電波が通れる道幅」を意味する周波数帯域が最大160MHz、「電波にどれだけ情報を詰め込めるか」を示す変調方式が最大256QAMまで設定できるので、アンテナ1本あたりの通信が最大約866.6Mbpsまで可能としている。

 11acでは、いま普及している無線LAN規格IEEE802.11n(以下11n)と同様に、アンテナを複数個束ねて同時転送する規格「MIMO」(Multi-Input Multi-Output)も利用できる。11acの規格では、同時通信できるアンテナ数は最大8本と定められている。そのため11acの規格上の最高速度は、約866.6Mbps×8本で約6.93Gbpsとなる。

 ただし現在、11acの最高速度である約6.93Gbpsで通信できる機器は、一般向けには売られていない。通常の11ac対応機器は、周波数帯域が最大80MHz、アンテナ1本あたりの最高速度は約433.3Mbpsで、アンテナを1〜3本を搭載するのが一般的だ。そのため、最高速度は約433Mbpsから約1300Mbpsの機器が多い。最近はアンテナを4本搭載し最大1733Mbpsに対応する製品も出始めたものの、パソコンなどクライアント側にそれに対応した製品が現状では無いに等しい。

 11acで高速通信するには、無線LANルーターのほかにパソコンやタブレット、スマートフォンも11acに対応していなければならない。パソコンやタブレット、スマートフォンも無線LANルーターと同様に搭載するアンテナの本数によって最高速度が変わる。11acを搭載するパソコンの多くが、アンテナを2本搭載し最高速度が約867Mbpsの製品が多い。アップルのMacbook Proなど一部の上位機種のみ、アンテナを3本搭載し最大約1300Mbpsで通信できる。

 最近は、iPhone 6をはじめ、スマートフォンやタブレットも11acに対応する機種が増えた。タブレットやスマートフォンのほとんどがアンテナ1本のみ搭載しており、最高速度は約433Mbpsとなる。

 11acは、無線の周波数に5GHz帯のみを使う。11acに対応する無線LAN機器は従来の2.4GHz帯との互換性を保持するために、2.4GHz帯と5GHz帯の両方を同時に利用できる製品が多い。11nにあった、2.4GHz帯と5GHz帯が混在するまぎらわしさがない。

無線LANの最高速度を比較した(規格上の理論値。現在、子機として売られている製品のみ)。11acは、最大1300Mbpsで通信できる。11nよりも3倍、IEEE 802.11gよりも20倍以上も速い。また、有線LANのGigabit Ethernetよりも高速だ
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11acは11nと同様にMIMO(Multi-Input Multi-Output)を使い高速通信を実現している。MIMOは複数のアンテナを束ねて同時に通信することで、アンテナ1本よりも高速に通信できる仕組みだ。現在売られている11ac機器は、アンテナ1本あたりの最大通信速度が約433.3Mbpsとなり、それを複数束ねて高速化している
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