深刻な出版不況のさなか、名古屋で大ブームを巻き起こしている女性誌がある。それは、アラフォー女性をターゲットにした美容&ライフスタイルマガジン「メナージュケリー」。 この雑誌から誕生した4名の読者モデル・ユニットは「美クトリーズ」と呼ばれ、美容のカリスマとして、成功者として、名古屋でたちまち有名に。その影響力たるや凄まじく、彼女たちと巡る名古屋ツアーが開催されるほど。東海地方限定にもかかわらず毎号10万部を売り上げるまでに成功したメナージュケリーの秘密を、その仕掛け人である桑原かおり編集長に聞いた。

2002年創刊時のメナージュケリー。表紙を飾るのは当時の人気モデルたちで、全国誌と変わらない。ハイクラスマガジンを標榜しつつも誌面は読者の子どもたちのスナップや親子で出かけられるお気軽お遊びスポットなど、セレブなのか庶民なのか構成が曖昧な印象。後にその「ママ」臭さを一蹴。現在の形となる
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“名古屋を体現する”、アラフォー読者モデルが大当たり

 通称「メナケリ」。読者たちは「メナージュケリー」をそう呼ぶ。「名古屋にクオリティーの高い地方誌がある」と雑誌編集者たちの間では20年前から評判だった「KELLY」のお姉さん版として、2002年に年2回のムックとして創刊されたのがメナージュケリーだ。以来、景気やメディア環境の変化に左右されることなく、非常に安定した部数をキープしている。

 当時のキャッチコピーは「セレブミセスマガジン」。創刊号の表紙には「シラカベーゼVSヤゴトジェンヌ」の文字が躍る。名古屋屈指の高級住宅地、白壁と八事在住マダムをもじったネーミングなのだ。

 「創刊から10年ほどは表紙にタレントを起用していましたが、2012年に年4回の季刊となるタイミングで、読者モデルの中でも選りすぐりの4名に表紙を飾ってもらうことにしました。4人を『美クトリーズ』と名付けたところ、これが大当たり。元々安定した部数だったものに追い風が吹き、さらなる部数増の材料になったのです」(桑原編集長)

 女性誌の世界では、一般読者を表紙にするということはまずありえない。なのに一度に4人も載せてしまう大胆さ。なぜ、読者モデルを表紙にすることに決めたのだろうか。

 「創刊以来、誌面では読者モデルを大勢起用してきました。最新のファッションを紹介するより、読者の私物を見せるほうが断然反響がいいのです。『あの人の口紅の品番を教えて』『あの人の持っていたバッグはどこで買えるの?』は当たり前で、『今号から登場した○○さんが気になります。もっと取り上げて』などですね。それまでは普通に読者モデルを紹介していたのですが、雑誌の顔を作りたかったこと、名古屋を体現するアラフォー女性とは誰なのかと考えたとき、この4人でいこう、と」(桑原編集長)

メナージュケリーの桑原かおり編集長。2003年春号(創刊2号目)より現職。地元密着型の女性誌編集を通して名古屋女性の変遷を見てきた
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