街を走る不思議な乗物「トライク」

 街の中を不思議な3輪車が走っているのを見たことはないだろうか?

 バイクのようなフォルムでフロントは1輪なのに、リアは2輪。しかもライダーはヘルメットをかぶっていなかったりする! ……これは「トライク」という乗り物で、ヘルメットなしは違法ではない。

トライクの一例。250ccクラスのロードバイクをベースに製作されている。見た目はバイクだが、運転には普通免許が必要
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 トライクの定義を簡単にまとめると、左右対称に配置された2輪を含む3個の車輪(例外あり)、またがり式の座席、バーハンドル方式の舵取り装置を備え、運転者席の側方が解放された自動車、といったことになる。排気量の制限はない。

 3輪といえばサイドカーを思い出す人も多いはず。これは「側車付き二輪車」というジャンルで、側車(サイドカー)を外せば二輪で走行できるものを指す。実際の分類も二輪とほとんど変わらない。トライクはこれとは別物だ。

大手自動車・二輪メーカーはほとんど手がけない

 トライクの多くは、バイクをベースにショップで製作され、ユーザーに販売される。小型のトライクであれば、キットを購入し、自分で製作できなくもない。基本的にはバイクの後部を改造し、2つの車輪を駆動できるようにすればOKなのだが、駆動力を左右に配分するデファレンシャルギアや、サスペンションの作動など、高度な技術が求められる部分もあり、ショップの腕の見せどころとなる。251cc以上の大型トライクであればフロントサスペンションを含めて車体全体に手を入れることも多い。その昔は、リアエンジン・リアドライブのフォルクスワーゲン「ビートル」のフロント部分を1輪にするという、驚くようなトライクもあった。

こちらは250ccのスクーターをベースにしたトライク。リアが2輪に変更されていることがわかる。ボディーそのものはベース車両のままのようだ
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昔ながらのサイドカー(側車付き二輪車)。扱いは通常の二輪とほぼ同じ。日本では、側車を取り外すと二輪車として走行できることが条件
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 大手自動車・二輪メーカーが直接トライクを手がけることはほとんどない。例外はハーレーダビッドソンの「トリグライド ウルトラ」だろう。排気量約1.7Lのエンジンを搭載したメーカー純正トライクで、価格は400万円以上する。

 カナダのスノーモービルメーカー「BRP」は、ユニークなトライク「CAN-AMスパイダー」を販売している。フロント2輪、リア1輪を備え、まさにスノーモービルを路上で走らせるようなスタイルだ。通常のトライクとは前後が逆になるため、これを「リバーストライク」と呼ぶこともある。CAN-AMスパイダーはすでに世界で数万台が発売されたとのこと。日本では2014年から正規輸入が始まり、価格は200万~300万円ほどになる。

ハーレーダビッドソンの純正トライク「トリグライド ウルトラ」。もともと大きなボディーのハーレーがより大きく見える
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BRP社が販売する「CAN-AMスパイダー」。フロント二輪、リア1輪や車体構成により、高い安定性を得ているという
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